古河電気工業は2020年11月18日、世界最高水準の高強度を示す導電用アルミニウム合金線材を開発したと発表した。アルミニウム合金導体の適用範囲が、これまでは難しかった運動や張力を伴う用途まで広がるという。
強度特性や金属疲労への耐性の向上がアルミニウム合金導体に求められていることから、先端のメタル技術を適用し、既存品比で2倍以上となる世界最高水準強度の導電用アルミニウム合金線を開発。線径44μmで719N/mm2の引張強度まで材料強度を高められるという。
この材料を応用し、高い疲労特性、撚り加工性、端子接続性、展延性などの成形加工性を両立させることにも成功。このアルミニウム合金線材を信頼性への要求が最も厳しいエレベータ用ケーブルに適用した評価では、高い強度特性を反映し、既存の銅導体製ケーブルの6倍以上もの屈曲寿命(900万回以上の繰り返し回数)を示した。
本開発において、金属材料技術は古河電気工業、伸線技術は東京特殊電線、ケーブル技術は理研電線、接続技術は古河ASと、古河電工グループ企業が保有するコア技術を融合している。今回開発したアルミニウム合金線材は、新規の材料特性を活用した用途の探索を進め、2021年度からサンプル出荷を開始する。通信の大容量化が進むIoT(モノのインターネット)や運動を伴うロボット関連分野などで、多様な技術の発展に貢献する。