小型/軽量で急速充電と複数台充電を切り替え可能なマルチポートEV充電技術を開発 日立製作所

日立製作所は2021年8月25日、EVの普及に不可欠なEV充電インフラの小型/軽量化と、急速充電と複数台充電を切り替えできるマルチポートEV充電技術を開発したと発表した。EV充電設備の設置面積を40%、重量を70%削減し、急速充電から複数台充電までフレキシブルに対応する。

EV充電設備のニーズが増加し、特に充電時間を短縮できる急速充電設備が求められているが、急速充電に対応するために充電器を大容量化すると充電設備が大型化し、既設の集合住宅やビルへの設置が難しいという課題があった。

そこで、これまで培ってきた電力変換技術や高周波駆動技術を生かし、EV充電設備を小型/軽量化し、充電容量とポート数をフレキシブルに変更できる拡張性を備えたEV充電技術を開発し、350kWマルチポートEV充電システムを試作した。設置場所が限られた既設インフラにもEV充電設備を容易に設置できるという。

今回、充電システムの中で大きな体積を占めている変圧器を小型化するため、パワー半導体を用いて変圧器を高周波駆動させることで小型化する半導体変圧器(SST)を開発。SiCにより駆動周波数を従来の約1000倍(50kHz)に高め、伝送できる電力を増大させて急速充電に対応する。設置面積は約40%、重量は約70%削減し、業界ナンバーワンの小型/軽量化を達成した。

また、7段接続した電力変換ユニットで6.6kVの入力電圧を分担するマルチレベル回路を開発。これを3並列、合計21台の電力変換ユニット構成とし、出力を切替スイッチで制御することで充電電力とポート数をユーザーニーズに応じてフレキシブルに変更できる。普通充電(17kW)の場合は21台のEV、急速充電(50kW)の場合は7台のEVの同時充電に対応。超急速充電(350kW)に対応する拡張性も有しており、大容量バッテリーEVも短時間で充電できる。

同社は今後、この技術の実用化に向けた研究を進めるとともに、同社グループ全体で連携することで、新しいエネルギーソリューションやEV運用管理などのサービス事業を創出し、脱炭素社会の実現に貢献していく。

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