- 2022-9-16
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沖縄科学技術大学院大学(OIST)のサンカ・ボラ博士らの研究チームは、2022年9月15日、ダブリン大学、クイーンズランド大学と共同で、誤り訂正の新技術についての研究論文を発表した。連続測定と呼ばれる手法を採用し、新たなQECスキームを開発した。
量子コンピュータは、保存できる量子ビット数が高くなるほど、従来型のコンピュータと比べ、指数関数的に情報処理のスピードが速くなる。しかし、量子ビットには不安定さという欠点があり、温度などの環境要因に反応して状態が非常に速く変化したりするため、多くの誤りが生じる。
量子誤りを訂正する方法を「量子誤り訂正(QEC)スキーム」と言い、これまで即時にかつ効率的にこのような誤りを訂正する方法はなかった。
量子誤り訂正を実現するには、「量子もつれ」という力学的な性質を利用して、複数の量子ビットの集合体を作る必要がある。量子ビットの誤りをQECスキームで検出するには、2つの隣接する量子ビットの向きが揃っているか評価する「シンドローム測定」を行い、量子ビットの誤りをその結果である「シンドローム」に基づいて検出し、訂正する。
しかし、一般的なQECスキームは速度が遅く、即時に誤りを検出、訂正できず、急速に量子ビットに保存された情報が失われる。このようなQECスキームでは、「射影測定」と呼ばれる従来の量子測定方法を採用し、シンドロームを得ているが、さらにいくつかの量子ビットが必要となるため、資源消費が高くなる。
研究チームは、その代替的な測定方法として、はるかに射影測定よりも速く、資源効率も良く測定できる「連続測定」と呼ばれる手法を採用。「連続量子誤り訂正のための測定に基づく推定量スキーム(MBE-CQEC)」と呼ばれる新たなQECスキームを開発し、ノイズを含む部分的なシンドローム測定から誤りを迅速かつ効率的に検出し、訂正することに成功した。
研究では、外部コントローラー(または推定器)として、強力な従来型のコンピュータを使用。量子システムの誤りを推定し、ノイズを完全にフィルタリングしてフィードバックで誤りを訂正している。
新しいQECスキームは、理論モデルに基づいており、量子コンピュータを用いた実験による検証が必要となる。また、大きな制約もあり、推定器の即時シミュレーションは、システム内の量子ビット数が増加するほど指数関数的に遅くなるとしている。