- 2022-12-23
- エンジニア調査, 制御・IT系, 化学・素材系, 機械系, 電気・電子系
- エンジニア, キャリア形成, リスキリング, 出世・昇格, 制御・ソフトウェア系, 市場価値, 技術, 機械系, 素材・化学系, 製造業, 転職, 電気・電子系
ポイント
- 製造業でエンジニアに対するリスキリングの取り組みを行っている会社は13.8%、これから行う予定は13.0%
- リスキリングに興味のあるエンジニアは全体で37.8%、職種別でみると制御・ソフトウェア系エンジニアが最も高く49.2%
- 個人でリスキリングの取り組みを行っているエンジニアは7.7%、これから行う予定の人は18.8%
- エンジニアがリスキリングに取り組む理由は「新しい技術を習得したい」「自分の市場価値を高めたい」「収入を増やしたい」
調査概要
エンジニアのためのキャリア応援マガジン「fabcross for エンジニア」は、エンジニア600人(機械系:285人、電気・電子系:152人、制御・ソフトウェア系:61人、素材・化学系102人)を対象に、「エンジニアのリスキリング」に関するアンケート調査を行いました。
2022年10月に、5年で1兆円規模のリスキリング支援策が閣議決定されました。労働移動の円滑化や労働市場の流動化と一体化したこのリスキリング支援策は、岸田内閣が提唱する「新しい資本主義」の「人への投資」の一環として期待を集めています。今後は一層、ビジネスパーソンのキャリア形成や支援が注目されることが予測されます。
そして今、話題となっているのが「リスキリング」です。リスキリングにはスキルの学び直しといった意味があり、経済産業省の定義によると「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」となっています。すでにある程度身に付いているスキルや、業務で使っているスキルをより深く学ぶのではなく、全く経験のないスキルをゼロから習得することがリスキリングであり、今まで縁のなかった部門、部署への異動、全く異なる業界への転職なども視野に入れ、今まで培ってきたスキルと、新しいスキルをかけ合わせてさらに高い能力を発揮できる人材を目指すための学びなのです。もちろん、エンジニアにとってもリスキリングはとても重要な取り組みとなります。
企業における取り組みも進む中、今回は主に製造業系エンジニアのリスキリングの実態について調査しました。
調査結果サマリー
製造業でエンジニアに対するリスキリングの取り組みを行っている会社は13.8%、これから行う予定は13.0%
製造業系エンジニア498人(機械系:285人、電気・電子系:152人、制御・ソフトウェア系:61人)、素材・化学系エンジニア102人をあわせた600人を対象に、2022年10月12日~11月23日の期間でアンケート調査を行った。
・所属している会社において、会社主導でリスキリングの取り組みを行っているか聞いたところ、13.8%が「すでに取り組んでいる」と回答した。
・「これから取り組む予定」は13.0%だった。
・「取り組んでいない」が最も多く、48.3%だった。
・リスキリングの流行や政府の政策に対し、製造業における会社主導でのリスキリングへの取り組みはまだまだ進んでいないことが分かった。
会社主導によるリスキリングの取り組みについて、回答したエンジニアが所属している会社の規模別に集計した。
・リスキリングに「すでに取り組んでいる」と回答したのは「301~500人」規模の会社が最も多く、22.2%だった。「1001人以上」規模の会社が18.4%で次点となった。
・一方で「50人以下」の規模の会社では「すでに取り組んでいる」が5.3%、「これから取り組む予定」も5.3%で、リスキリングに対する取り組みがある会社はあわせて10.6%だった。
リスキリングに興味のあるエンジニアは37.8%、制御・ソフトウェア系エンジニアが最も高く49.2%
・リスキリングに対して興味があるかどうか聞いたところ、「興味がある」(12.8%)、「やや興味がある」(25.0%)をあわせた37.8%のエンジニアがリスキリングに興味を持っていることが分かった。
・一方、「あまり興味はない」(15.3%)、「興味がない」(19.7%)を合わせた35.0%が、興味がないと答えている。
現在働いている中で将来に不安を感じる要素として「自身のキャリア形成」を選択した129人の回答を集計した。
・「興味がある」(22.5%)、「やや興味がある」(35.7%)をあわせて、現在のキャリア形成に不安を感じている人の58.2%がリスキリングに興味があると回答していた。
リスキリングへの興味について、職種別に集計した。
・「制御・ソフトウェア系」エンジニアが最も高く、「興味がある」(21.3%)、「やや興味がある」(27.9%)をあわせた49.2%が興味を持っていることが分かった。また、興味がないと答えた人も24.6%と、他の職種のエンジニアに比べて最も少ない結果となった。
個人でリスキリングの取り組みを行っているエンジニアは7.7%、これから行う予定の人は18.8%
・会社主導ではなく、個人でリスキリングの取り組みを行っているか聞いたところ、7.7%が「すでに取り組んでいる」と回答した。
・「これから取り組む予定」は18.8%だった。
・個人でリスキリングに取り組んでいる、またはこれから取り組もうとしている人はあわせて26.5%だった。
・「取り組んでいない」が最も多く、46.8%だった。
個人によるリスキリングの取り組みについて、職種別に集計した。
・「すでに取り組んでいる」と答えた人は「制御・ソフトウェア系」エンジニアで最も多く14.8%だった。「これから取り組む予定」の人も最も多い32.8%だった。
個人によるリスキリングの取り組みについて、回答したエンジニアが所属している会社の規模別に集計した。
・リスキリングに個人で「すでに取り組んでいる」と回答したのは「301~500人」規模の会社のエンジニアが最も多く15.6%だった。「501~1000人」規模の会社で次に多く、13.0%だった。
・「301~500人」規模の会社では、会社主導によるリスキリングの取り組みについても「すでに取り組んでいる」という回答が22.2%と、他の規模の会社に比べて多かった。
個人によるリスキリングの取り組みについて、回答したエンジニアの年齢別に集計した。
・「すでに取り組んでいる」と答えたのは「30~39歳」で最も多く、14.3%だった。
・「これから取り組む予定」と答えたのは「20~29歳」が最も多く、24.0%だった。
・全体的に若い世代の方が、リスキリングに取り組む傾向にあることが分かった。
エンジニアがリスキリングに取り組む理由は「新しい技術を習得したい」「自分の市場価値を高めたい」「収入を増やしたい」
個人でリスキリングに「すでに取り組んでいる」、「これから取り組む予定」と回答した159人にその理由について聞いた。
・「新しい技術を習得したい」と回答した人が64.8%で最も多かった。
・「自分の市場価値を高めたい」が40.9%で次に多く、続いて「収入を増やしたい」が36.5%だった。
・収入よりも、技術習得やエンジニアとしての市場価値に重きを置いていることが分かった。
・一方で、「出世・昇格したい」(23.9%)、「転職したい」(19.5%)は下位となった。
【調査概要】
調査方法:ネットリサーチ
期間: 2022年10月12日~11月23日
対象: 製造業系・素材化学系エンジニア 600名