中小~中堅規模中心に、さまざまな企業から必要とされる産業用ロボット開発者


本コラムは、エンジニア専門の人材紹介会社メイテックネクストのキャリアコンサルタント・河辺真典氏からの寄稿です。旬のキーワードを取り上げ、エンジニアのキャリア形成に役立つ情報を発信していきます。


前回、本格的な人型ロボットの開発職を目指すなら狭き門になるが、産業用ロボットなら開発者を求めている企業は増えていることをお伝えしました。

今回は、産業用ロボット開発者を求めているのはどんなメーカーか、産業用ロボット市場の展望はどうなのか、という2点について触れていきます。

工程ごとに異なるロボットメーカー

おむつ工場を例に取ると、おむつの上に高分子吸収体を置いて不織布を被せ、それらを溶着し、おむつにゴムを取り付けて――と非常に数多くの工程を経て、製品として完成させていくことになります。

しかもおむつが完成したら、あれだけかさばる製品をコンパクトな形でパッケージに詰めていかなくてはいけない。これらの工程では、多くの場面で産業用ロボットが活躍することになります。

それでは、そうしたおむつ工場で使われているロボットを、どこか1社が独占的に開発しているのでしょうか。

実は、そうではありません。おむつという1つの製品を作り上げ、包装し店頭に上がるまでに、複数の企業が開発した産業用ロボットが活躍しているのです。

溶着する工程が得意なロボットはA社、ゴムを取り付ける工程はB社、おむつをパッケージ詰めする工程はC社といった具合に、得意な工程ごとにロボットは異なり作る会社も違います。小規模な会社では50人前後、大規模な会社でも500人程度の社員数で頑張っているメーカー製のロボットが使われています。

確かに、産業用ロボットメーカーの中には、上場企業など、非常に大規模なところもあります。ですが、ほとんどは中堅~中小規模のメーカー。非常に間口が広く、自分に合った会社を探して飛び込んでいける世界になっています。

不景気のときこそ、産業用ロボット導入を積極的に進める産業も

それだけさまざまな企業が産業用ロボットを開発していることもあってか、ロボット開発職の需給バランスは、人材側が有利な売り手市場。優秀な技術者がキャリアチェンジを考えたら、複数の候補の中から、自分好みの選択肢を選べる状況になっています。

売り手優位の状況は、当面続くと私は考えます。バランスが崩れることがあるとすれば、景気が悪化したときくらいでしょうか。経費を減らすため、設備投資を控えるメーカーが出てくるわけですから。

それでも、不景気になると売れなくなる製品がある一方、不景気のときでも変わらず売れ続ける製品もあります。先に挙げたおむつもその1つだと思います。

そうした不景気でも売れ続ける製品を手掛ける企業は、そうは言っても好景気のときよりは売れなくなりますから、その分、何らかの手段で経費を削減しようと考えます。

そのとき、案の1つとして浮上してくるのが、工場の自動化をもっと押し進めること。食品や最先端の医療機器など、まだ人の手で製造している工程が多い工場は数多くありますから、そこを自動化して経費を抑えようというわけです。

そのように、工場の自動化に必要な産業用ロボットに携わる仕事は、幅広い産業や大小さまざまな規模の企業で活躍の場があり、不景気にも強いので、エンジニアに勧めたいキャリアの1つです。

次回は、産業用ロボット関連の仕事を志す上で、求められる資質などについて説明したいと思います。


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河辺 真典(メイテックネクスト 執行役員)

メイテックネクストでは、エンジニア専門特化の強みを生かし、豊富な業界知識・技術知識に基づいて「失敗しない転職」のお手伝いをいたします。
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