富士経済は2016年2月24日、次世代環境自動車に搭載のリチウムイオン電池(LiB)、ニッケル水素電池(NiMH)、電気二重層キャパシタ(EDLC)など大型二次電池についての市場調査結果や市場予測をまとめたレポート「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2016 次世代環境自動車分野編」を発表した。
次世代環境自動車向け大型二次電池の世界市場
2015年の市場は、2014年比74.9%増の1兆943億円が見込まれる。EV向けの割合が大きく、中でもEVトラック・バス向けが中国の需要増加により大きく伸びた。また、マイクロEV向けは市場規模が小さいものの、中国を中心に伸びている。
現状HV・PHV向けは日本の需要が多くを占めるが、今後はPHV向けを中心に北米や欧州で需要が増加するとみられる。アイドリングストップ自動車(ISSV)/マイクロHV向けは、補機用の低価格な鉛電池(Pb)が中心であるため、市場全体に占める割合は小さい。
種類別にみると、EVやPHVが搭載するLiBの割合が圧倒的に大きい。現状HVへの搭載が多いNiMHは、LiBを搭載するHVが増加する煽りを受けて、2025年には需要が減少するとみられる。
PbはISSV/マイクロHV向けが大きく伸びると見られ、小規模ながらマイクロEV向けの需要も期待される。EDLCは、中国のEVトラック・バスなどでの採用が進んでいる。
次世代環境自動車向け大型二次電池の地域別需要動向
中国では2015年にEV乗用車やEVトラック・バスの生産が急拡大した結果、LiBを中心に需要が大幅に増加。アメリカは、大容量電池パックを搭載するTesla MotorsのEV向けなどLiBが中心となっている。
今後は、欧州・アメリカ・中国の需要が大きく増加する見込み。欧州やアメリカはEVやPHV向けのLiBが大幅に伸び、特にアメリカではEV向けのLiB市場が2025年に1兆円を超える公算が高い。中国もEVやPHV向けを中心に、特にEVトラック・バス向けが他地域よりも大きく増加するとみられる。
日本は現状HV向けのNiMHやLiBが中心だが、将来的にはPHV向けのLiBが大幅に増える見込み。また、FCVの普及は日本が先行するが、低価格のNiMHの搭載が中心とみられる。
EV向け大型二次電池の世界市場
EVの普及施策を各国政府が掲げており、LiBを主軸とするEV用電池の市場は今後拡大する見通しだ。
2015年の中国では、中央政府が進める新エネ車(EV・PHV)普及政策下で、各地方政府が率先して車両導入を進めた結果、EV向け二次電池の市場が拡大。搭載電池は、中国製の電池が大半を占めた。
欧米諸国でも、各メーカーが現状のEVラインアップに加え、蓄電容量を向上させた新型EVの投入計画を活発化させており、LiB市場も連動して拡大するという。
アイドリングストップ自動車(ISSV)/マイクロHV向け大型二次電池の世界市場
世界的に高まる燃費規制への対策として、ISSV/マイクロHVは安価な燃費改善車として需要が増加。ISSV/マイクロHV用の補機電池は、頻繁なエンジン始動、アイドリングストップ中のライトやオーディオなどへ電力を供給する。現状は補機用のPbが大半だが、今後はマイクロHV向けの回生充電用電池としてLiBやEDLCなどの需要が増加するとみられる。
PbはLiBやEDLC搭載のマイクロHVでも補機電池として搭載され、加えて交換需要も発生するため、今後も需要増加が予想される。LiBは現状12V系のマイクロHVで搭載され日本の需要が中心であるが、2019年頃からは欧州や中国で48V系のマイクロHVの市場が拡大するのに伴い大幅な需要増加が見込まれる。EDLCは低コストで回生効率が高いことから、搭載が増えると見通しだという。