昭和電工は2016年4月25日、高熱伝導と高強度を備えたアルミニウム板材「ST60」シリーズの新グレード「ST60−HSM」の量産販売に向けて、サンプルワークを今月から開始すると発表した。
ST60シリーズは、同社が2001年に開発したアルミニウム板材だ。純アルミニウム並みの放熱性(熱伝導性)と、アルミニウム合金と同等の強度を兼ね備えている。発売以来、曲げ加工性の高いグレード「ST60−T3」は電子機器内部の放熱板に、高強度グレード「ST60−T8」は金属ベース基板やスマートフォンの部品に採用されてきたという。
ST60−T3は引張強さが200N/mm2、耐力が180N/mm2、熱伝導率が215W/m・℃。ST60−T8は引張強さが260N/mm2、耐力が235N/mm2、熱伝導率が211W/m・℃となる。
一方、ST60−HSMは従来グレードと同等の曲げ加工性と熱伝導性を持ちながら、アルミニウム合金に匹敵する高強度を備えた製品。主な仕様は引張強さが300N/mm2、耐力が280N/mm2、熱伝導率が204W/m・℃だ。
昭和電工によると、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末では強度や意匠性の点から、ハイエンド品からミドルレンジ品にまで金属筐体、特にアルマイト加工の外観の優位性からアルミニウム製筐体の採用が進んでいるという。
同社は強度向上のニーズに対応するため、ST60−T3の加工性とST60−T8以上の強度を備えたST60−HSMを開発。今回ST60−HSMを市場投入することで、ST60シリーズの筐体としての採用拡大を目指すとしている。