明電舎、真空遮断器搭載の204kVガス絶縁開閉装置を開発 新幹線延線などの需要見込む


明電舎は2017年5月10日、真空遮断器(VCB)を搭載した204kVガス絶縁開閉装置(GIS)の開発を完了したと発表した。VCBを搭載したGISとして、204kVは世界初の最大電圧クラスとなる(同社調べ)。

ガス絶縁開閉装置(GIS)とは、電力系統から電気を受電する際に必要となる遮断器(CB)、断路器(DS)、接地開閉器(ES)、母線(Bus)、避雷器(SAR)、計器用変成器(VT、CT)等をタンク内に収納し、接地された金属製の密閉容器内に絶縁性能の高いガスを充てんした複合製品だ。このGISの遮断部分に使用されるのが真空遮断器(VCB)で、真空容器の中で電極の開閉を行う真空インタラプター(VI)、絶縁物、操作部及びケースで構成されている。

従来は受電の際に必要な各機器を単体で配置していたため、広い用地が必要だったが、一体型で複合になっているGISは大幅に設置スペースを削減でき、従来の約15%の面積で設置できる。山間部や地下などの狭いスペースにも設置可能だ。

また、遮断器にはVCBの他、SF6ガスを使って遮断するガス開閉遮断器(GCB)が多く使われるが、VCBは真空中で遮断するためSF6ガスを絶縁部分にしか使用しない。このため、温室効果ガスの一種であるSF6ガスの使用量を低減でき、地球温暖化防止に貢献する。加えて、GCBでは開閉時にSF6ガスが変質して人体に影響のあるガスに分解されるため、ガス処理時は廃棄処理が必要となるが、VCBでは分解ガスが発生せずリサイクルも可能だ。

さらに、GCBでは2000回で機器内部の開放点検が必要だが、VCBはVIの採用により、1万回まで開放点検が不要。保守点検費用を低減できライフサイクルコストを抑えることができる。

信頼度の面においても、VCBは真空中で遮断するため電極間の絶縁回復性能に優れており、電力系統の短絡事故による大電流遮断に有効で、事故の拡大を防止できる。またGCBではガス圧低下時に遮断性能に影響して遮断不能となるが、VCBではガス圧が低下しても通常の使用状態で負荷電流を開閉でき、電気供給信頼性と安全性に優れている。

同社では既に145kVの製品を開発/納入済みだが、国内の新幹線延線や既存設備の更新等での需要を見込み、今回の新製品開発に至ったという。

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