帝人、ポリカーボネート樹脂製ピラーレスフロントウィンドウを市販車向けに開発

耐摩耗試験(1000回転)後のPC表面キズ比較(左:ハードコートなし、中央:ウェット法、右:プラズマCVD法)

帝人は2017年6月19日、京都大学発のEVメーカーであるGLMが製造/販売するスポーツEV「トミーカイラZZ」向けに、世界で初めてポリカーボネート(PC)樹脂製のピラーレスフロントウィンドウを開発したと発表した。樹脂製のフロントウィンドウが市販車に採用されるのも世界初だという。

今回開発されたPC樹脂製フロントウィンドウは、通常Aピラーがあるフロントウィンドウ周辺部に厚みをもたせることにより、世界で初めてAピラーレスを実現した。高い耐摩耗性と優れた耐候性があり、2017年7月から適用される新しい自動車保安基準を満たしている。また、従来のガラス窓とAピラーの組み合わせに比べて36%軽量化され、視界を遮るものがなくなることで安全確保と爽快な走行にも寄与する。

帝人では、車両軽量化に向け、ガラスの1/2の軽さと200倍の耐衝撃性を持つPC樹脂の特性を活かし、列車の窓や、自動車のパノラマルーフなどを開発してきた。2017年3月には、ウェット法でハードコートしたPC樹脂にプラズマCVD法(ハードコート材料をガス化してコーティングする方法)でハードコートを追加することにより、ガラス並みの耐摩耗性と耐候性を付与する技術を開発。実車サイズの大型樹脂窓や複雑な曲面を有する樹脂窓への均一なコーティングも可能にしている。

一方自動車のフロントウィンドウには、衝突時の安全確保や、光の透過性、耐摩耗性など様々な要求特性があり、自動車保安基準によりこれまではPC樹脂を使用できなかった。しかし自動車保安基準の改正により、2017年7月以降国内で発売される新車種のフロントウィンドウにPC樹脂の使用が可能になったことから、今回GLMのトミーカイラZZ向けにピラーレスフロントウィンドウの開発を行ったものだ。

このPC樹脂製ピラーレスフロントウィンドウを装着したトミーカイラZZは、6月28日からポートメッセなごやで開催される「人とくるまのテクノロジー展 2017」において初公開される。また、GLMでは公道を走行するための国内認証を取得する予定で、今秋を目途に、このピラーレスフロントウィンドウをトミーカイラZZのオプションとして加える計画だ。

今後帝人では、日本国内だけでなく、新しい自動車保安基準に相当する特性が求められる欧米の自動車メーカーに向けて市場開拓を進めるという。

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