岡山大学の岡崎善弘講師らの研究グループは2017年9月13日、プログラミングを初めて体験する方法がやる気(成功期待・課題価値)にどのように影響するのかを小学生を対象に調査した結果を発表した。
2020年から始まる小学校のプログラミング必修化に向け、教員研修や教材の開発・販売など様々な取り組みが始まっている。プログラミングの習得には継続的な学習が必要で、それを支えるモチベーションも必要となる。総務省では、青少年がプログラミングに出会い、プログラミング学習を継続するステップを(1)動機付け、(2)継続的な学習、(3)深化の3段階にまとめているが、プログラミングに初めて出会った際に「楽しい」「またやってみたい」と思わなければ次のステップに進めない。
今回同研究グループでは、どのような出会い方がプログラミング学習の継続につながるのかについて調査を行った。62人の小学生を対象に、プログラミングとの出会い方として、(1)ワークショップを受ける講義型、(2)友達と2人でテキストを見ながらプログラミングをする協同型、(3)1人でテキストを見ながらプログラミングをする個別型、の3タイプで効果を比較。(2)と(3)は自宅での学習を想定した。各タイプとも約20人のプログラミング未経験の子供が参加し、シューティングゲームのプログラミングを学習した。
参加前と参加後に、成功期待(プログラミングは自分にもできそうだという期待の程度)と課題価値(プログラミングに取り組むことの価値認識の程度)の観点から効果を調べた。その結果、成功期待は、どのタイプでも効果を認めることができた。しかし、課題価値では、講義型と協同型だけに効果が認められ、1人でテキストを見ながら学習する個別型では効果が認められなかった。
この調査結果から、書籍を買い与えて子どもにプログラミング学習をさせるだけではやる気が高まらず、継続しないことが示唆される。ワークショップに参加できない場合でも、協同型のように、誰かと一緒にプログラミングを学習することが有効と考えられる。友達や保護者と一緒に学習するなど、プログラミングを行った結果を他者と共有することが、学習を継続したくなる意欲につながることが示唆されている。