CADシステム等の市場規模、2017年度は3637億円に――矢野経済研究所調査

矢野経済研究所は2018年2月26日、「CAD/CAM/CAE システム市場に関する調査(2017年)」の調査結果概要を発表した。日本国内の2016年度のCAD/CAM/CAEシステム市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年比6.3%増の3513億円。2017年度は前年比3.5%増の3637億円となる見込みだという。

2016年度は、個人消費が伸び公共投資も拡大。緩やかな景気回復が続く中、「地域未来投資促進事業」(ものづくり等補助金)などの影響もあり、中小企業の製造業を中心として設備投資が回復し、それがCAD/CAM/CAEシステム市場にも好影響を及ぼした。

2017年度については、雇用や所得環境が引き続き改善し、経済の好循環が進展。民需を中心とした景気回復が続く見込みだという。また生産の増加や企業収益改善などによって、前年度比3~4%程度の増加になるとする。

トピックスとしては、外資系大手ベンダーによるサブスクリプション方式への誘導の不調が挙げられている。サブスクリプション方式はクラウド経由での提供を前提としているが、製造業を中心とした国内のユーザー企業は、エンジニアリング分野においては、まだクラウドを本格利用するに至っていないことがその理由だという。加えて、国内のCAD/CAM/CAEシステム市場は、巨大な販売パートナーが多く、その多くが複数のCAD/CAM/CAEシステムメーカーとパートナー契約を結んでいる。サブスクリプション方式は販売パートナーにとってはメリットが乏しいことから、従来型の提供形態をとる他メーカー製品への移行提案が起こりやすいことも、不調の理由だという。

また、昨今注目を集めているAIについては、CAD/CAM/CAEの分野では現時点では利用が進んでおらず、まだこの市場へのインパクトは小さいという。しかし、これからはAIとの相性が良い画像処理などの領域で利用が進む可能性があるとしている。

プラットフォーム化の進展については、前述の通り、国内企業のエンジニアリング分野においてクラウドの利用が進んでいないため、市場への影響はいまだ小さいという。しかし、CAD/CAM/CAEシステムメーカー各社とも製造業向けのプラットフォームサービスの提供を始めていることから、いずれは移行していくと見込んでいる。

調査は2017年6月~11月に、機械系CAD/CAM/CAEシステムメーカー、EDA(Electronic Design Automation)システムメーカー、土木/建築系CAD システムメーカーを対象として、同研究所研究員による面談、電話またはメールによるヒアリングで行われた。

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