エア・ウォーター・マッハ、高耐熱性と経済性を両立したFKM製Oリングを開発――250℃でも安定したシール性能を発揮

従来品と開発品の性能比較

エア・ウォーター・マッハは2018年9月4日、汎用フッ素ゴム(FKM)と、スーパーグロース法による日本ゼオン製の単層カーボンナノチューブ「ZEONANO SG101」(以下SG101)を複合化することで、業界最高水準の高耐熱性能を有する汎用フッ素ゴム(FKM)製のOリングを開発したと発表した。2018年10月にサンプル供給を開始し、2019年1月に量産を開始する予定だ。

近年、化学プラントなどでは、生産効率向上のため稼動温度の高温化が進み、部品の耐熱性向上のニーズが高まっている。また、自動車のモーターや発電機のタービンでなども小型化や高出力化が進んでおり、より高温の環境下で使用されるようになっている。このため、シール部材であるOリングにも高い耐熱性能が求められている。

一般的に、耐熱性能が求められるOリングの材料には、150℃から200℃までの温度域では汎用フッ素ゴム(FKM)が使われ、200℃を超える高温域では特殊なフッ素ゴムであるパーフルオロエラストマー(FFKM)が使われている。しかし、FFKMはFKMに比べ100倍以上も高価で、経済性と高耐熱性を両立したOリングの製品化が望まれていた。

今回の開発品は、FKM製ながら、250℃の使用環境下においてもOリングとしての基本特性である圧縮性能や力学的強度等を保持し、安定したシール性能を発揮する。また従来製品は、グリースが塗布できない環境では、ハウジング部品との粘着/固着現象が発生することが課題だったが、こうした現象の発生を大幅に抑制する機能も持っている。さらに、高い導電性能も有し、静電気による異物付着を防止するとともに静電気放電(ESD)による影響を低減する。

この新製品の開発にあたっては、単層カーボンナノチューブの持つ高い化学的還元性能や電気/熱導電性能活かすため、FKMにできる限り均一に分散させる複合化/加工技術(混錬/シーティング/成形)を開発している。SG101の持つ優れた酸化防止機能(ラジカルトラッピング効果)によって、フッ素ゴムの熱劣化(軟化劣化)を防ぐとともに、カーボンナノチューブ繊維質が金属製ハウジング部品への粘着や固着性の低減に効果を発揮する。

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