鉄カラーとインサートナットが不要なねじを開発――クリープ後のゆるみを抑制、軽量化やコストダウンが可能に 日東精工

日東精工は2019年1月9日、樹脂材へのねじ締結において鉄カラーとインサートナットを廃止可能なねじ「カラーレスタイト」を開発したと発表した。2019年2月1日より本格的に販売を開始する。

近年、軽量化が進む自動車業界を中心に、従来よりも厳しい環境下でセルフタップ(母材にねじ山を刻みながら締め込むこと)が可能なねじが求められている。その1つに、樹脂材へのねじ締結において、高温環境下にさらされクリープ(物体に一定の応力を加えると、時間の経過とともに物体が変形する現象)が進行してもゆるまないセルフタッピンねじがある。

従来はクリープ現象に対処するため、樹脂材に熱で変形しにくい「カラー」と呼ばれる鉄製の筒と、金属製のインサートナットを埋め込んでおき、ここをねじ締結することが一般的な組付け方法だった。しかし、この締結方法は部品点数の増加を招いて、軽量化に反するうえ、コストアップやカラーやインサートナットを埋め込むための工数増加という問題もあった。

そこで日東精工は、従来通りの軸力締結とクリープ後のゆるみを防止する製品の開発に着手。同社の持つ工業用ファスナー(ねじ)の製造技術や、多くの性能試験で得られた知見を活かして研究を重ねた。その結果、鉄カラーとインサートナットを廃止できる樹脂用セルフタッピンねじ、カラーレスタイトの開発に成功した。

カラーレスタイトは従来のねじと異なり、同軸上に呼び径の異なる2種類のねじ山(ピッチは共通)をもち、被締結材と相手材にそれぞれのねじ部でセルフタップを行う。これにより、ねじの位相と被締結材および相手材の位相を保持し、クリープ後のゆるみを低減する。また、ねじ頭部側のねじがセルフタップする際に被締結材を押さえつけ、被締結材と相手材を密着させて締結し、締め上げることで締付け時に軸力を発生させることが可能だ。

さらに、鉄カラーとインサートナットの廃止により、製品の軽量化や締結コストの削減が図れる。

今後は、自動車業界、家電業界、OA機器業界などを主な対象として、カラーレスタイトを2019年2月1日より販売。2020年度に月産100万本の出荷を目指す。

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