銅ナノ粒子を用いた導電性ペーストを開発――フィルム基材に印刷・焼成して導電配線を形成 大陽日酸

PETフィルム上に形成した銅ナノ配線(RFパターン)

大陽日酸は2019年1月25日、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのフィルム基材へ印刷、焼成して導電配線を形成できる、銅ナノ粒子を用いた導電性ペーストを開発したと発表した。

従来、PETなどのフィルム基材上に導電配線を形成する場合、一般的にはエッチングプロセスが用いられる。しかし、工程が煩雑で真空蒸着装置などの高価な設備が必要なため、安価で簡便なプロセスが求められている。

一方、銅ナノ粒子などの金属ナノ材料は、バルク金属よりも低温で焼結でき、耐熱性の低いPETなどでも金属ペーストを印刷、焼成して導電配線を形成できる。しかし、熱焼成法では数十分程度の長時間の焼成時間が必要になり、短時間で焼成可能な光焼成法では、基材との密着性に課題があった。

今回開発した導電性ペーストは、大陽日酸が独自開発した粒子径100nm程度で表層が亜酸化銅で被膜された銅ナノ粒子(乾粉)を使用。従来の湿式プロセスで合成されたものと異なり有機保護膜が無いため、焼結性が高く、ひび割れの少ない焼結膜を形成できる。この銅ナノ粒子を用いてバインダーおよび溶媒の配合を最適化させることで、基材への密着性が高い導電性ペーストを開発した。

大陽日酸がこの導電性ペーストを用いてPETフィルムなどの基材に実際にスクリーン印刷、光焼成して確認したところ、屈強耐性やテープ剥離耐性を持ちながらも、比抵抗10-5Ω・cm前半レベルの導電性を有することが認められた。

今回開発した導電性ペーストは、プリンテッド分野におけるRFタグや感圧センサー用途の利用が期待できるという。

大陽日酸は今後、この導電性ペーストのサンプルの提供を進める。また、2019年1月30日~2月1日の間、東京ビッグサイトで開催される「新機能性材料展 2019」にて、同製品の展示を行う。

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