最高速の電子検出器を開発――原子スケールでビッグデータを得る

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Credit: Thor Swift/Berkeley Lab

電子顕微鏡の進歩は、ナノスケールの世界の新しい窓を開き、今までにないほど広範囲のサンプルに焦点を合わせることを可能にした。しかし、現在の電子顕微鏡は、顕微鏡の電子ビームがサンプルと相互に作用するときに発生する情報のほんの一部しか使用できていないという。そこで、米エネルギー省ローレンスバークレー国立研究所(バークレー研究室)の研究チームは、相互作用での情報のすべてを取り込み、原子スケールの画像をミリ秒の単位で記録することができる高速電子検出器を開発した。

「4D カメラ」(Dynamic Diffraction Direct Detector - 動的回折直接検出器)として知られるこの新型検出器は、数十年に及ぶバークレー研究室における電子顕微鏡学、原子スケールのイメージング、高速データー転送とコンピューティングから生み出された一連の先駆的革新の最新のものだ。この検出器を使えば、例えば、科学者が稼働中の電池やマイクロチップの部品を、原子スケールで調べることができる。

新開発の検出器は、バークレー研究室のナノスケール科学ユーザー施設である「分子ファウンドリー(Molecular Foundry)」の、透過型電子収差補正顕微鏡 0.5 (TEAM 0.5)に設置され、研究者はサンプルに原子1個分の解像度でアクセスすることが可能になった。TEAM 0.5は、10年前に高解像度の記録を作った顕微鏡だ。

検出器は、国立エネルギー研究科学用計算センターのスーパーコンピューターと100を越える光ファイバー回線で接続されている。これにより、原子スケールの画像をミリ秒の単位で記録することが可能だという。これは今までの検出器より60倍速い。

国立電子顕微鏡学センター(NCEM)の設備部長、Andrew Minor氏は、「これは、今までに作られた最高速の電子検出器であり、高解像度顕微鏡による研究の新時代を切り開くものだ。 今まで誰も(電子イメージングを使って)この速度で連続する動画を撮ったことがない」と、設備の能力に自信を見せている。

検出器は、毎分4テラバイトという驚異的な量のデーターを生成する。分子ファウンドリーで3D原子スケールのイメージングを専門に扱うPeter Ercius氏は、「このデーター量はおよそ6万のHD映像を同時に見ることに等しい」と説明する。スーパーコンピューターは実験が成功したかどうか確認するため、約20秒でデーター分析を行い、科学者に素早くフィードバックする。新たな電子検出器による新たな発見が期待される。

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