柔らかいシート上へ実用スピントロニクス素子を直接形成することに成功――スピントロニクス素子のIoT応用展開を拡大 東大など

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東京大学は2019年3月28日、村田製作所、大阪大学の研究チームと共同で、汎用的なスピントロニクス素子「CoFeB/MgO(コバルト鉄ボロン/酸化マグネシウム)系磁気トンネル接合素子」を、伸縮性のある有機フレキシブルシート上へ直接形成することに成功したと発表した。

電子素子を柔らかい基板上に形成するフレキシブルエレクトロニクスは、ウェアラブル機能の付与や、電子素子の用途拡大において重要な役割を果たしている。一方、固体中の電荷とスピンの両自由度を活用したスピントロニクスは、特に磁気記録デバイスやセンシング素子の高度化や省エネ化に大きく貢献してきた。このスピントロニクス素子に「柔らかさ」を付与できれば、これまでの応用の範疇を超えた新たな展開が拓けるものと期待されている。

磁気トンネル接合と呼ばれる、2枚の磁性薄膜で絶縁体のナノ薄膜をサンドイッチした構造は、ハードディスクの高感度な磁気読み取りヘッドや不揮発性磁気メモリの記録素子として広く活用されており、代表的なスピントロニクス素子といえる。中でも、CoFeBを磁性層に、MgOを絶縁層に用いた接合素子は市販のデバイスにおいてすでに広く用いられているが、これらの接合素子は硬い半導体素子上に形成され、外部から応力が加わった状況下で使用することは想定していなかった。

今回、同研究チームはポリイミドからなる熱に強い有機フレキシブルシート基板上に、CoFeB/MgO/CoFeBトンネル磁気接合素子を形成。シートを引っ張ることで素子に応力が加わっていることを確認したが、外部磁界に対する素子の抵抗変化率は全く変化せず、素子の破壊も見られなかったことから、外部応力に対する高い耐性があることが分かった。また、350℃もの高温プロセスに耐えうる素子であることも確認した。

高い伸縮性と熱耐性を有する同素子は、従来の硬い基板上に形成された磁気トンネル接合とほぼ変わらない作製方法で形成できるため、障壁なく将来の応用展開が可能だという。この柔らかさが付与されたスピントロニクス素子は、固い基板上に形成されてきた従来の素子に比べてメカニカルデザインの自由度が大きく、ひずみゲージの感度向上やフレキシブルデバイス周辺へ集積化された省電力な磁気メモリの配備を可能にするなど、IoT社会に適合した新たな応用展開が期待できるとしている。

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