- 2019-4-4
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- ウェアラブルスピントロニクスデバイス, スピントロニクス, スピントロニクスセンサ, スピントロニクス素子, フレキシブルスピンシート, 巨大磁気抵抗効果, 村田製作所, 東京大学, 生体モーション, 研究
東京大学と村田製作所は2019年4月3日、柔らかいスピントロニクスセンサーで生体モーションを計測することに成功したと発表した。
スピントロニクスは、磁気記録デバイスやセンシング素子の高度化/省エネ化に大きな貢献をしてきた。しかし、現状のスピントロニクス素子は、硬い基板に支えられ、曲げたり伸ばしたりする状況下での使用は想定されていなかった。
そこで、研究グループは、柔らかい有機シート基板上にひずみの方向を検知できるスピントロニクス素子を形成。手の甲に生じるひずみを検出することで、曲げた指の方向を同定することに成功した。
具体的には、引っ張られた方向に磁化が向く強磁性層のCo、引っ張られても磁化の方向を変えない反強磁性層のNiFe、NiFeの磁化の方向を一方向へ固定するFeMnを積層。これにより、Co‐NiFe間では、引っ張りにより磁化の相対角度に変化が生じる。結果、この相対角度の変化が巨大磁気抵抗効果を通じて抵抗の変化を生むため、引っ張った方向を検知できる。
この成果は、スピントロニクス素子がウェアラブルなセンサーとしても性能を発揮できることを示しているという。また今後は、AI技術などと組み合わせることで、知能を持たせたフレキシブルスピンシートの開発も期待できるとしている。さらには、生体モーションにとどまらず、IoT社会に役立つ新タイプのセンサーとしての利用価値を生み出すという。