ペロブスカイトベースのLEDの効率記録を更新

Photo : Thor Balkhed

次世代太陽電池の材料として注目されるペロブスカイトは、有機ELに代わる発光材料としても有望視されている。良好な発光特性を有するペロブスカイトベースのLEDは、世界各国で研究開発が行われているが、実用化への課題の一つとして外部量子効率(与えられたエネルギーに対し光として放出された電荷担体の比率)の向上がある。

ペロブスカイトベースのLEDの外部量子効率は、製造中に材料に生じる欠陥によって制限されていた。欠陥は電荷担体のトラップとして作用し、エネルギー損失を起こすが、スウェーデンのリンショーピング大学(LiU)はこれを大幅に改善した近赤外線LEDの製作に成功した。研究成果はNature Photonicsに発表されている。

ペロブスカイトの欠陥に対処する一つの方法は、欠陥を起こす原子に結合する「不動態化分子」として知られる物質を加えることだ。研究者達は以前に、性質に一定の改善をもたらす末端にアミノ基を有する分子を発見していたが、これに酸素原子を含む分子を選択するとその効果は劇的に増加した。ペロブスカイト中の電荷担体のトラップの数は著しく減少し、電荷担体が再結合して効率的に発光することが可能になった。これによって、達成された外部量子効率は21.6%という記録的な値だ。

研究を率いたLiUのFeng Gao氏は、「このペブロスカイト材料は近赤外領域の極めて効率的な発光ダイオードとなる。近赤外線LEDは、医療や電気通信の分野で特に有用なものだ。我々は、我々の新たな知見が他の色の発光ダイオードに応用できると信じている」と述べ、今後の研究の進展に意欲を見せている。

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