リチウムイオン伝導性と輸率を向上させた電解質膜を作製――室温で動作する全固体二次電池の開発が可能に 首都大学東京

首都大学東京は2019年5月21日、従来よりもリチウムイオン伝導性と輸率を著しく向上させた電解質膜を開発したと発表した。この電解質膜を用いることで、現在、有機全固体電池では開発が困難な、室温で十分に作動する全固体二次電池を開発できるという。

首都大学東京の川上浩良教授らの研究グループは、PVDFやPANなどの分極や極性を持つ高分子に、リチウム塩を添加してナノファイバーマットを合成。そのナノファイバーマット上に、高分子マトリックスで充填したナノファイバー含有複合電解質膜を作製した。その結果、塩添加ナノファイバーの効果で膜内にフリーリチウムイオンが生成され、電解質膜のリチウムイオン伝導性と輸率が著しく向上した。

高分子電解質は10mm以下に超薄膜化でき、軽量で小型化も可能なうえ、高分子材料で構成されるため、しなやかで強靭な膜として作製できる。また、長期の充放電サイクル試験などの電池特性も安定しており、リチウムデンドライトはほとんど形成されなかったという。

加えて電池の積層化も容易で、研究グループは積層型電池の作製にも成功している。さらに正極に鉄系材料が使えるため、レアメタルは不要だ。このため、電池製造プロセスも無機全固体電池に比べて格段に容易なうえに、電極と電解質膜を一体化した電池も製造可能だ。

開発した電解質膜はフレキシブル電池、ウェアラブル材料への搭載が可能なため、研究グループは小型医療機器や衣服での利用を目指す。最終的には、車載用電池やインフラ関連での使用も視野に入れているという。

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