- 2019-6-13
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- H-IIBロケット, こうのとり8号機(HTV8), 国際宇宙ステーション, 宇宙ステーション補給機, 実証衛星, 推進剤, 日本実験棟「きぼう」, 東京大学, 水推進エンジン, 研究, 種子島宇宙センター, 超小型衛星, 超小型衛星用エンジン
東京大学は2019年6月12日、水を推進剤とした超小型衛星用エンジンとその実証衛星を開発したと発表した。これにより、世界初となる、水推進エンジンを搭載した超小型衛星の、国際宇宙ステーションから宇宙への放出が実現されるという。
近年、1~10kg程度の超小型衛星の利用が増加し、超小型衛星用エンジンの需要が急速に高まっている。しかし、サイズや重量、また推進剤に有毒物質や高圧ガス等が用いられるなどの、コストや宇宙飛行士に対する安全性に課題があった。そのため、従来の超小型衛星用エンジンは、国際宇宙ステーションから放出される超小型衛星への搭載は行われてこなかった。
そこで、研究グループは今回、安全無毒な水を推進剤として用いる、10cm四方の超小型衛星用エンジン及びその実証衛星を開発した。このエンジンでは、水を内部の真空空間で蒸発させ、発生した水蒸気を高速で排出することで推進する。
また、実証衛星は、宇宙ステーション補給機「こうのとり」8号機(HTV8)に格納され、2019年度中をめどにH-IIBロケットによって種子島宇宙センターからの打ち上げを予定している。そして、国際宇宙ステーションに到着後は、日本実験棟「きぼう」から宇宙空間に放出され、宇宙実証実験を行うという。
研究グループによると、この研究により、超小型衛星の長寿命化が実現されるという。そして、通信や放送、測位、地球観測、農林水産業、エンターテイメント等さまざまな分野で、超小型衛星の実利用の発展が期待できるとしている。