汎用プラスチックの極細繊維が優れた圧電特性を持つことを発見――圧力センサーや発電素子の低コスト化に貢献 北陸先端科学技術大学院大学など

電界紡糸ポリスチレンマイクロ圧電繊維膜サンプルの概説図と各顕微鏡像

北陸先端科学技術大学院大学は2019年7月29日、京都工芸繊維大学、国士舘大学と共同で、電界紡糸法による極細繊維化によって、汎用プラスチックが優れた圧電特性を示すことを明らかにしたと発表した。

圧電性を示すプラスチックナノ/マイクロ圧電繊維は、フレキシブルで超軽量、通気性にも優れるためウェアラブルセンサー向け素材として有望視されている。

これまで、フィルム状でも圧電特性を示す圧電プラスチックからなるナノ繊維が圧電特性を示すことは報告されていた。しかし圧電プラスチックは、従来から知られているチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック系圧電素材と比較して圧電特性が低い。しかも電荷の偏りの方向を揃えるポーリングを後処理として行わなければならないという問題があった。

今回の研究では、フィルム状態では圧電挙動を示さない汎用プラスチック(ポリスチレン)が、電界紡糸法による極細繊維化により、高度な圧電特性を示すことを明らかにした。同大学によると、従来の概念に反して汎用プラスチックがこのような挙動を示すことを明らかにしたのは、世界初だという。

具体的には、まずポリスチレン溶液から電界紡糸法によって不織布状のポリスチレン繊維膜を作製。平均直径3.88μm、平均膜厚121.6μmのこの繊維膜の圧電特性を、新たに開発した圧電特性評価装置によって評価したところ、圧電ポリマーの約23~35倍程度の圧電特性を示した。

今回の発見により、安価な汎用プラスチックを用いて高感度な圧力センサーや発電素子などを製造できる可能性が示された。また圧電プラスチックと異なりポーリングは不要になるため、素子などの作製プロセスの簡略化も期待できる。今後は、今回作製した圧電繊維からなる圧力センサーや発電素子を衣服に装着して、実際の人体の動作センシングや人体動作による発電を目指す。

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