単結晶ダイヤモンド放熱基板を用いたマルチセルGaN-HEMTを開発――移動体通信基地局や衛星通信システムなどの省エネに貢献 三菱電機

開発したGaN-HEMTの断面構造

三菱電機は2019年9月2日、産業技術総合研究所(産総研)と共同で、単結晶ダイヤモンド放熱基板を用いたマルチセル構造のGaN-HEMT(窒化ガリウムを用いた高電子移動度トランジスタ)を、世界で初めて開発したと発表した。

近年、移動体通信基地局や衛星通信システムの高周波電力増幅器は、小型・軽量化、高効率化などのため、高出力で高効率なGaN-HEMTの適用が進んでいる。しかし、GaN-HEMTは高出力動作時の発熱で電流が流れにくくなり、GaNの性能を十分に発揮できないという問題があった。このため、GaN-HEMTの基板として、従来のSiC基板やシリコン基板に代えて、自然界で最高の熱伝導率を持つダイヤモンドを用いた構造が開発されている。

今回三菱電機は、トランジスタを並列に8セル組み合わせたマルチセル構造のGaN-HEMT層を、産総研が開発したナノ表面改質層を介した常温接合法によって、1900W/m・kの高熱伝導率の単結晶ダイヤモンドに接合。放熱性を高めることで、従来のシリコン基板を用いた同構造GaN-HEMTと比較して、GaN-HEMTの上昇温度を、211.1℃から35.7℃にまで低減した。

これにより、トランジスタあたりの出力が2.8W/mmから3.1W/mmに増加し、電力効率も55.6%から65.2%にまで向上した。

今回開発した製品によって、移動体通信基地局や衛星通信システムに搭載される高周波電力増幅器の電力効率が向上し、消費電力を低減できるという。

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