ビールの泡を長持ちさせる秘訣――中性子ビームで泡の安定性を解明

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飲み終わるまで泡が消えないビールが登場するかもしれない。英マンチェスター大学の研究チームは、中性子ビームを使った実験で、泡を長持ちさせる秘密につながる発見をした。研究結果は、2019年12月20日付けで『Chemical Communications』に掲載された。

泡状物質は多くの製品で使用されており、開発者はその目的に合わせて改良を重ねてきた。添加剤を1種類だけ含んだ液体からできた泡の振る舞いについては比較的よく知られているが、実際の製品のように複数の添加剤を含んだ液体の泡の振る舞いについては、はっきりと分かってはいなかった。

これまでの研究は、表面張力、弾性、ポテンシャル、組成といった一般的な表面特性を考えていたが、「さまざまな分子が泡の表面に集まったときにできる構造は考えられていなかった」と、研究チームを率いるRichard Campbell博士は語る。

研究チームは、フランスのラウエ・ランジュバン研究所(ILL)の中性子反射率計「FIGARO」を利用して、「気泡膜」と呼ばれる泡の構造を研究することでこの問題に対処した。「光沢のある物体に反射した光が目に入ると脳がその見た目から物体を識別するように、中性子が液体に当たって反射したときの様子をコンピュータで解析すれば、その表面についての重要な情報を明らかにできる。違う点は、その情報が分子レベルで、我々の目では見ることができないということだ」と、Campbell博士は説明する。

研究チームは、表面張力を下げる作用のある界面活性剤と、シャンプーにも使われるポリマーの混合物に中性子ビームを当て、その反射率を解析した。ILLが有する世界最高の出力レベルの中性子源施設を利用することで、泡表面での添加剤の配置と気泡膜の安定性の相関関係を明らかにし、泡の消滅を防ぐために必要な安定性を合理的に説明することができた。

泡の寿命をコントロールできるようになれば、ビールやラテの泡が長持ちして我々の楽しみが増すだけではない。逆に、泡切れの良い洗剤を開発することもできる。油除去剤を改良して、海洋に流出した油を効果的に除去することもできる。泡消火剤の性能が向上すれば、命を救う場面もあるかもしれない。

「ヨーロッパに数多くある中性子源施設は、この種の研究には不可欠だ。我々の新しいアプローチは、さまざまなシステムに適応し、材料科学や環境に影響を与える製品の開発を支援できると初めて明確に示したと考えている」と、Campbell博士はその意義を説明している。

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