MIT、導電性ポリマー電極の新たな接着法を開発――バイオセンサー向け技術

Images: Melanie Gonick, MIT

マサチューセッツ工科大学(MIT)は、導電性ポリマーゲルを濡れた表面に付着させる方法を見出した。例えばセンシングや電気刺激用途のバイオデバイスに用いられる可能性がある。この研究は2020年3月20日、『Science Advances』に掲載された。

現在、生物医学のデバイスに使用される電極の多くは金属製だ。体内の湿潤環境でも耐久性があり、化学的に安定しているが、硬いため繊細な生体組織を傷つける恐れもある。一方で導電性ポリマーは、柔軟性があるものの耐久性には難がある。特にセンサーやマイクロチップなどの表面に付着させても、体内の水分によって剥離してしまうからだ。

この問題に対し、これまでは主にポリマー材料に変更を加えて耐久性と接着能力を向上させるという方向性での研究が行われてきた。しかしながら、企業は既存のポリマーを製造するため多額の設備投資を行っており、配合が大きく変更されると新しい製造設備に更なる投資が必要になる。

そこでMITの研究チームは、既存の製造方法との互換性を保ちつつ、多様な材料に適用させることに重点を置いた。新しい手法は、導電性ポリマーハイドロゲルと基質材料との間に非常に薄い接着剤層を作るというものだ。この層は厚さ数nmで、ガラス、ポリイミド、酸化インジウムスズ、金など、一般に使用されている幅広い基質材料にゲルを付着させるのに効果的だ。

接着剤層はポリマー自体に浸透し、丈夫で耐久性のある保護構造を形成する。これにより、湿潤環境に長期間晒された場合でも、材料が所定の位置に保持される。この接着剤層は、スピン塗布、吹付け塗装、浸漬塗布といったさまざまな標準的な製造プロセスによってデバイスに適用できるため、既存の製造プラットフォームとの統合が容易だという。

研究チームは、超音波を使用した劣化加速条件下でテストをしているが、生物医学デバイスとしての実用化のためには、現実的な状況下で、より長く、より厳密なテストが必要になるとしている。

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