カーボンより黒く電気を流さないセラミックス薄膜を開発――タッチパネルで高級感の漂う黒色を表現 東北大と日本電気硝子

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東北大学大学院工学研究科の高村仁教授らの研究グループは2020年6月3日、日本電気硝子と共同で、カーボンより黒いが電気を流さないセラミックス薄膜を開発したと発表した。タッチパネルで高級感のある黒色を表現できる新素材となる。

電子機器の最も外側にくるため、デザイン性が重要視されるタッチパネルだが、通常の反射防止パネルは透明であり、電源をオフにすると、ディスプレイの外部からの光が一部入射/反射し、内部が透けて見える。

この部分を黒くすることで、電源をオフにした状態で高級感のある漆黒のタッチパネルとなるが、黒色と、指がタッチしている場所を静電気で特定するための電気を流さない電気的絶縁性を両立させる必要がある。しかし、一般に黒い材料は電気をよく流し、黒さと電気抵抗はトレードオフの性質となるため、両立が困難だったという。

本研究グループでは、さまざまなセラミックス薄膜をパルスレーザー蒸着法により合成し、その光吸収特性を調査してきた。そして今回、金属とナローギャップセラミックスで構成される複合体が可視光全域を強く等強度に吸収し、かつ、電気を流さない特性を示すことを発見した。特に、金属として銀(Ag)、ナローギャップセラミックスとして酸化鉄(Fe2O3)を用いた場合に、膜厚が同じならカーボンより強く等強度な可視光吸収を示すと同時に、一般的な金属に比べ約100万倍の電気抵抗(シート抵抗として108 Ω)が発現した。

この材料で可視光を強く吸収する性質と電気を流さない性質が両立されたメカニズムには、原子レベルで金属がセラミックス中に分散されたことが大きく関係してる。この状態はとても不安定で、通常はすぐに完全に分離/成長するが、今回開発した材料の電子顕微鏡写真を見ると、それらが原子レベルで混合された中間状態の部分(明灰色部)が、数ナノメートルサイズの金属銀粒子(小さな球状の白色部)と酸化鉄セラミックス(暗灰色部)の間にはっきり確認できる。

これは、完全に金属とセラミックスに分離するには不十分な温度で合成された分散状態になったことによるもので、銀が60 mol%でも金属銀粒子同士が接続されず、電気が流れにくい。また、可視光全域を強く吸収する性質が発現する。

電気を流さない黒色セラミックス薄膜の実用化には、今後1、2年が見込まれる。高級感あふれる黒いタッチパネルの実現が期待される他、液晶ディスプレイのカラーフィルタに使用することで暗い色の表示がより美しくなることが期待される。また、酸化物中にナノスケールで分散された金属ナノ粒子の新たな機能性、たとえば抗菌性や電極特性などにも興味が持たれる。学術的には、原子レベルで金属とセラミックスが複合化された材料の新たな光学機能に関する研究の発展が期待される。

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