傷に強いナノ構造で、水をはじく超疎水性表面のデザインを考案

超疎水性表面は、他に類をみないほど水をはじくので、バクテリアやウイルスなどの病原体は表面に付着することができない。このため、超疎水性表面は抗菌コーティングとして非常に有効なものだ。しかし、超疎水性表面は傷やへこみなどに弱く、傷ついた箇所に液体が入り込むとコーティングの効果が失われるという欠点がある。そこで、フィンランドのアールト大学と中国の電子科技大学の研究者たちは共同で、鋭利な物や鈍器による繰り返しの打撃にも耐久性がありはっ水性が損なわれない、いわば「よろい板」で防御された超疎水性表面を考案した。

この研究は、金属、ガラス、セラミックで作ることができる超疎水性表面のデザインに関するもので、2020年6月4日付の学術誌『Nature』の特集記事として掲載されている。この超疎水性は、材料の表面に広がるナノサイズ構造によるものだ。すなわち、小さな逆ピラミッド型のハニカム状構造で材料の表面をパターン化し、はっ水性化学物質でハニカム内部をコーティングしている。この構造により表面に液体が付着することを防ぎ、傷つきやすい化学コーティングをピラミッドの壁で損傷から保護して、超疎水性を保つことができる。

研究に参加したアールト大学のRobin Ras教授は、よろいのような役目をする表面フレームの相互連結によって強度と硬度が増し、ほとんど全ての材料で作ることができるとしている。この超疎水性表面の特性は、生物医学技術において有益な抗菌性だけでなく、はっ水性を必要とするあらゆる用途で使用でき、例えば、太陽発電パネルに使用すれば長年に渡る湿気や汚れによる光量の低下を防ぎ、発電量を維持できるという。

Ras教授は「我々は、さまざまな大きさや形状、素材でハニカム構造のよろい板を作った。その結果、これが汎用的なコンセプトであり、多くの異なる素材に適合し、耐久性のある防水面を幅広くデザインするフレキシビリティを提供できることを示せたのは素晴らしいことだ」と述べている。

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Major breakthrough in extremely water-repellent materials makes them durable enough for the real world

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