次世代ディスプレイ向けに赤色発光マイクロLEDを開発――単一LEDでRGB発光も可能に

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© Zhe Zhuang

サウジアラビアのアブドラ国王科学技術大学(KAUST)の研究チームが、元来青色を発光する半導体InGaNを用いて、赤色を安定的に発光させるLEDを作製することに成功した。高品質の高インジウム系InGaNを成長させ、メサ型チップのサイズおよび酸化インジウムスズ透明導電膜ITOを最適化することで、高温でも鮮明な赤色発光を実現した。液晶や有機ELに代わる、次世代のテレビや各種モニタに活用できるマイクロLEDの開発に繋がると期待される。研究成果が、2020年4月27日の『Applied Physics Letters』誌に発表されている。

スマートフォンやテレビの画面には、液晶や有機ELディスプレイが広く使われている。一方、更なる高画質化や省エネ化、高速映像追随性、デバイス耐久性向上を推進していく上で、液晶や有機ELの性能レベルを超えると期待されているのがマイクロLEDだ。LEDを約10μmまで微細化し、それを平面上に敷き詰めてパネルとしたもので、自発光デバイスであるため、液晶よりも明るく鮮明な画像を、高い応答速度と低い消費電力で実現できる。同じく自発光デバイスである有機ELは、有機材料の焼き付き防止のため、明るさを抑えて使用する必要があり、明るい場所での使用に難があり、消費電力も大きいという課題がある。

マイクロLEDに関しては、サムスン電子など内外の家電メーカーを中心に、活発な研究開発が進められているが、何百万という画素に対応する、RGBの3種類の微細なLEDチップを、パネルに敷き詰めるのに時間がかかって高コストになり、実用化と量産化にはまだ高いハードルがある。

その問題に対して、1枚のウェハー上に複数個のLEDを一括形成する技術開発などが模索されているが、KAUSTの研究チームは、RGBの発光を単一のLEDチップに統合することにチャレンジした。これまでに、2種類の半導体、即ち青色と緑色を発光できるInGaNと赤色発光のInGaPを組み合わせる技術が開発されているが、KAUSTの研究は、元来青色を発光するInGaN中のインジウム量を増加させると、赤色発光が可能になることに着目し、モノリシックなInGaNによって、青から緑、赤までの全波長領域を発光させる可能性を追求したものである。

研究チームは、高品質の高インジウム系InGaNのチップサイズ、および酸化インジウムスズ透明導電膜ITOを用いた高透過性電極を最適化することにより、従来の赤色InGaPより優れる高性能のInGaN赤色LEDを得ることに成功した。InGaP赤色LEDの欠点であった高温における作動についても、高い安定性が得られるとともに、鮮鋭な発光波長幅を持つことを明らかにした。開発技術は、1チップ型のマイクロLEDを活用した次世代のテレビやモニタのディスプレイ技術の基盤となると期待される。

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