組み込みエンジニアの需要は?人材不足の理由と目指すポイント

製品を動かすのに欠かせない「組み込みエンジニア」。IoTシステムやAI人工知能の発展によって、組み込みエンジニアの需要は高まりつつある一方、組み込みエンジニアは人材不足といわれています。そこで、この記事では人手不足の理由と、組み込みエンジニアになるためのポイントなどをご紹介します。これから組み込みエンジニアを目指そうか悩んでいる方や転職を検討中の方は、ぜひチェックしてみてください。(fabcross for エンジニア編集部)

組み込みエンジニアに需要はある?

ここではまず、組み込みエンジニアについて解説すると共に、組み込みエンジニアの人材の現状と、将来性についてご紹介します。

組み込みエンジニアとは

作成したソフトウェアを機械に組み込むことで完成する、コンピュータシステムのことを「組み込みシステム」と呼びます。

この組み込みシステムを作るのが、組み込みエンジニアの仕事。さまざまな電子機器や産業機械などを動かすために、必要な組み込みシステム(ソフトウェア)を設計しています。

たとえば、テレビや冷蔵庫、スマートフォン、自動車、信号機、ATM、店舗のレジなど。これらの製品に組み込まれるソフトウェアを作成することで、コンピュータシステムをモノの内部に作り出し、さまざまな電子機器の動作を可能にしています。

組み込みエンジニアの需要と将来性

組み込みエンジニアは家電メーカーや自動車メーカー、医療機器メーカーなど、活躍できる業界が広く、どの企業も、組み込みの分野に挑戦する若手エンジニアを欲している状況です。

近年、IoTシステムの導入が進み、AI人工知能の更なる性能の発展が見込まれるだけでなく、さまざまな分野でデジタル化が進んでいます。

たとえば、車の現在速度やガソリン状況を表すメーターは「タコメーター」と呼ばれており、針とメモリによって乗り手に情報を伝えていました。近年では、車のメーターを数値のみで表示する「デジタルタコメーター」が搭載された車も増えてきており、こういったデジタル化はいたるところで見られています。

こういったものをはじめ、ネットワーク機能やAIを搭載するには、新しく組み込みシステムを導入する必要があり、組み込みエンジニアの力は必要不可欠です。

既に現場で働くエンジニアは40~50代が多く、次世代を引き継いでいくエンジニアが少ないため、若手に対するニーズがより高くなっています。

スキルや実力が少ない若手でも、これからどんどん技術を吸収し、実力を上げていける人であれば、採用率はぐんと上がります。そのため、コミュニケーション能力やプレゼン能力を養うのも、エンジニア職に就くための方法といえるでしょう。

また、40代以降の方が転職する場合にも、組み込みエンジニアは比較的有利な職業です。長年の経験や実務から得たプログラミングスキルや、ハードや電気の知識が高いことが見込まれれば、ほかの業界とくらべると転職活動もしやすいでしょう。

組み込みエンジニアが人材不足の理由

ではなぜ、組み込み系エンジニアのニーズが高まる一方で、人手が不足しているのでしょう?ここでは、その理由を見ていきます。

主流の言語を使用しない

組み込みシステムの開発には、主にC言語系(C、C++)、アセンブリ言語が使用されます。組み込み分野では、C言語などが主流です。しかし現在は、スマホアプリやAIが普及しており、アプリ開発や・人工知能開発の仕事に興味を持つ人が増えてきています。

そのため、若手のプログラマーがはじめに学ぶ言語は、JavaScript・Python・Rubyなどが主流になってきています。このほか、PHPやApple社が開発したiOSアプリの作成には、Swiftといった言語もよく使われています。

アプリ開発や人工知能開発は、C言語でできないこともないですが、個人のスキルに左右されやすく、「人が書いたC言語のプログラムを第三者が読み解く」ということが難しいため、初心者が業務で使うレベルに達するのに時間がかかります。

また、C言語は汎用性が高く大規模な開発に向いており、開発コストが高いためRubyやPythonといったスクリプト型の言語が、アプリ開発には適しているのです。こういった背景から、C言語系を学ぶ若手は非常に少なくなっており、不慣れな若手プログラマーが多い状況にあります。

ハードウェアの理解が必要になる

組み込みエンジニアは、ハードウェアの回路図面などをもとにシステムを設計していくこともあります。製品そのものの動きを理解するには、電源と繋がっている回路やスイッチングによって回路上に流れる電流がどう切り替わるのか?

電子部品の構成により、流しても危険にならない電流の上限値や、マイコンに対して印加する電圧と内部制御に適した電圧値を理解し、制御状態によって流す電流・電圧を制御する必要があります。

ソフトウェアに関する知識だけでは、業務に行き詰まる場面が多いうえ、クライアントや同じ業務をこなすハード担当者と会話する際にも、知識が必要になるでしょう。

回路図面を理解するには、ハードウェアに対する深い理解が必要であり、そのためには電気電子工学の知識が必要です。ハードとは、目に見えるモノの部分全体を指します。それがどこにあるスイッチをONにすることで、どれくらいの電流がどのように流れ、どんな動きを実現させているのか。これらを理解しなければ、モノの動きをコードレベルに落とし込んでプログラミングできません。電気電子工学の理解を深めれば、ほとんどのモノの動きをハードウェアの目線で理解できるようになるでしょう。

このように組み込みエンジニアは、ソフトウェアとハードウェア両方の理解が必要になります。学ぶことが多く、それについていけない人が多いのも、人材不足に繋がっています。

未経験者が組み込みエンジニアを目指すポイント

では、これから組み込みエンジニアを目指す方には、何が求められているのか、目指すポイントと、いまからできることを紹介していきましょう。

組み込みエンジニアに必要なスキルや知識を習得する

仕事で使用する言語やハードウェア・電気電子工学に関してのスキルを習得することで、会社や企業からの人材価値が高くなります。エンジニアとして設計開発の実務経験がなくても、少し知識を持っているだけで、現場や実務での吸収力が変わります。まずは言語や電気電工学について調べ、基礎知識を身につけましょう。

組み込みエンジニアの仕事に活かせる資格の取得も、就職率を大幅に上げるでしょう。組み込み系で使える資格はたくさんあります。基本情報をはじめ、ETECやOCRES、エンベデッドシステムスペシャリスト試験などに挑戦し、資格取得を目指してみてください。

これらの資格を持っているだけで、組み込みエンジニアに必要なスキルや知識をどれぐらい備えているか、どれぐらいの能力があるかを、採用担当者に伝えることができます。資格を持っているだけで、資格手当などもらえる会社も非常に多いので、年収アップも期待できるでしょう。

エンジニア専門の転職サイトやエージェントを活用する

エンジニアに特化した転職サイトには、組み込みエンジニアの求人が多数登録されています。開発経験有の求人や、実務が3年以上~など、若手にとっては厳しい条件の会社もありますが、中には未経験者でもOKという会社や、プログラミングを少しでも学んだことがあればOKとする会社も多く存在します。

まずは、経験を積むためにそういったところに就き、徐々に実績を積むとよいでしょう。勉強や学習も大切ですが、現場で実際に業務をこなすことが一人前になる一番の近道です。

また、優遇条件に当てはまる経験や知識を習得していれば、面接時にアピールすることも大切です。求人条件として開示されていない場合でも、設計開発に3年以上携わっていることなどを伝えれば、習得している言語の数や熟練度などをアピールでき、採用率を上げることができるでしょう。

このほか、転職エージェントを通じて、組み込みエンジニアの仕事を紹介してもらう方法もあります。最新の技術情報や、業界動向に精通したキャリアアドバイザーにサポートしてもらうことで、大手企業や優良企業の非公開求人情報を得られるでしょう。

ワークライフバランスといった相談もしやすく、就活の幅が大きく広がります。履歴書の添削や面接のサポートを受けられる可能性もあるので、そういった点もメリットといえるでしょう。

高まる組み込みエンジニアの需要

さまざまな背景によって、組み込みエンジニアのニーズと将来性は、ますます高まっています。求められるスキルのレベルも高いですが、C言語や電気電子工学を勉強して資格取得したり、転職サイトやエージェントを利用したりすれば、よりよい職場への転職もしやすい業界といえるでしょう。

実績を積んでスキルを身に着ければ、フリーランスで働いて高収入を得ることも可能です。みなさんも、必要なスキルを
身に着けて、将来性のある組み込みエンジニアを目指しませんか?

取材協力先

メイテックネクスト

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