パナソニックは2020年10月12日、ウェット製法で反射率を0.5%以下に抑えた車載ディスプレイ用反射防止フィルムを製品化したと発表した。
車載ディスプレイで素早く確実に情報を得るためには映り込みの低減が必要になる。そのためには最表面での優れた反射防止機能が必要だが、ディスプレイの大画面化や異形状化に対応しやすく衝撃時の飛散を防ぐフィルムを貼合する方式が適している。開発品は、基板フィルムにコーティングし、乾燥/硬化させて成膜するウェット製法を採用している。
ウェット製法は生産リードタイムが短く生産性に優れるが、同製法で優れた低反射特性を実現するのは難しかった。今回開発した反射防止フィルムは、独自の樹脂設計技術やハードコート設計技術によって高屈折率膜と低屈折率膜を複数組み合わせ、さらにナノコーティング技術によってフィルム状に成膜することで反射光を相殺。これによりウェット製法で0.5%以下の低反射率を可能にした。
その他にもDIN規格(ドイツ工業規格)に準拠する高い耐候性を持つために悪意条件でも膜剥がれしにくい。さらに赤外線透過率が90%以上であるため、ディスプレイ周辺に赤外線センサーを配置する場合でも、十分な光量が確保できればセンサー受光部の穴あけが不要になり、加工工程が省略されデザイン性も向上する。
すでにサンプル対応を開始しており、量産開始は2021年4月の予定だ。