昆虫が運んで設置する小型センサーを開発――ビルの6階から落としても壊れずに着地

ワシントン大学の研究チームは、人々がアクセスしにくい場所でも設置できるワイヤレス小型センサーを開発した。小型ドローンや昆虫に付けて飛ばし、好きな場所に投下して情報収集できる。研究結果は2020年9月24日、「MobiCom 2020」で発表された。

センサーの大きさは1セント硬貨よりも小さく、重さは98mg。小型のドローンやスズメガにセンサーを搭載して飛ばす様子が動画で確認できる。センサーには磁気ピンを搭載し、Bluetoothの通信コマンドを受信すると、ピン周りのコイルに電流が流れて磁界が生じ、ピンが外れて飛翔体から切り離される仕組みだ。

高所から投下しても壊れない工夫もしている。重さのあるバッテリーをセンサー基板の端に設置することで、落下時の回転動作で抗力が発生して落下速度を時速18km程度にとどめ、22mの高さからでも壊れずに着地させることができたという。着地後は、温度や湿度データを約3年間収集できる。

「昆虫は、長距離を飛行できるし、ドローンよりも狭い場所を通り抜けるのが上手だ。小型ドローンや蛾のような昆虫から放出されるセンサーは、初めてのものだ」と、Shyam Gollakota准教授は説明する。このシステムは、軍用ヘリコプターが物資を投下する様子からインスパイアされたという。

研究チームは、今後バッテリーの太陽電池化、センサーのネットワーク化を計画しており、農業、林業、環境モニタリングなどの利用を見込んでいる。

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Airdropping sensors from moths: Researchers use flying insects to drop sensors from air, land them safely on the ground

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