ポリマーを使用した難燃性リチウムイオン電池を開発――新しいアプローチで軽量かつ効率性と安全性を向上

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米スタンフォード大学と米国エネルギー省(DOE)傘下のSLAC国立加速器研究所の共同研究チームは、難燃剤を添加した軽量ポリマーを材料とする電池の集電体を開発し、リチウムイオン電池の軽量化と安全性や効率性の向上に成功した。研究の詳細は、『Nature Energy』に2020年10月15日付で公開されている。

研究チームによると、この新技術を取り入れれば、軽量化による電気自動車の航続距離延長や、ノートパソコンやスマートフォンなどの電子デバイスが発火する危険性を下げることが期待できるという。また、電池を軽量化し可燃性を低減することはリサイクル電池の輸送コストを下げることになるため、リサイクルにも大きな影響を与える可能性がある。

銅やアルミで作られている集電体は、電池部品の中でも最も重い部品の1つで、その重さは高出力電池や超薄型電池の重量のうち15~50%を占めている。集電体を軽量化するため、これまでにも集電体を薄くしたり多孔質化したりする方法が試されてきたが、耐久性やコストの面で問題があった。また、安全性の面では、電池の電解質に難燃剤を追加する手法が研究されているが、粘度が増してイオン伝導性が低下した状態になると難燃剤を多量に添加できないという問題がある。

今回、研究チームは、従来の集電体では純銅製の導体を、ポリイミドと呼ばれる軽量ポリマーをベースとした部品に置き換えた集電体を作製した。ポリマーには難燃剤であるトリフェニルリン酸塩(TPP)を添加しており、導体の両表面を0.5μm未満という薄さの銅層でコーティングしている。銅には電流を流すという集電体における通常の働きだけでなく、ポリマーと難燃剤を保護するという役割もある。新しい集電体は、従来の物と比較して80%の軽量化に成功し、エネルギー密度は16~26%向上した。

現在流通している集電体で作られたラミネート型(パウチ型)リチウムイオン電池は、ライターなどの直火に触れると燃えだして電解質が燃えつきるまで激しく燃焼するが、新しい難燃性の集電体を利用した電池では、火は全く燃え上がらず非常に弱い炎が数秒燃えるだけで消える。また、再点火しようとしても再び燃え上がることはなかったという。

新しい集電体は、従来品で使用されている銅の一部を銅より安価なポリマーに置き換えるため、製造しやすく製造コストも安くなるというメリットがある。そのため、商業用大量生産の実現性は非常に高く、研究チームは電池メーカーと連絡を取る予定だとしている。

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