木材に存在する糖から持続可能なポリマーを作る――パッケージからヘルスケア、エネルギー材料まで応用の可能性も

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Image credit: Leszek Kobusinski

自然界で2番目に豊富に存在する糖であるキシロースを使用して作る持続可能なポリマーが開発された。この研究は英バース大学持続可能循環技術センター(CSCT:Centre for Sustainable and Circular Technologies)によるもので、2020年11月22日付で『Angewandte Chemie International Edition』に掲載された。

プラスチックやポリマーが、減少傾向にある化石燃料に依存していることは重大な問題だ。植物など再生可能な原料で作る生物由来ポリマーは、プラスチックを持続可能なものにする解決策の一部となっている。

全ての糖類と同様に、キシロースにはD-体とL-体という立体配置が互いに鏡像の関係となっている2つの鏡像異性体(エナンチオマー)があり、キラリティーを持つ。一般に、天然に存在するのはD-体である。ポリマーの立体化学を巧みに操作することはポリマーの物理的性質を変化させる強力な方法だ。キラリティーを持つ単糖類には、糖由来ポリマーの物性を制御できる可能性があるが、天然多糖類や合成炭水化物ポリマーにおける立体化学の影響についての報告はこれまでなかった。

今回の研究では、キシロースのD-体をL-体と組み合わせることでポリマーの熱特性がさらに向上することを示した。このポリマーは物理的特性や化学的特性を簡単に調整できるので汎用性が高く、軟質ゴム以上の物や結晶性物質を作ることができ、非常に特殊な化学的機能性を持たせることもできる。従来は、生物由来ポリマーでこのようなことを達成することは非常に困難だった。

研究チームによると、今回開発されたポリエーテル系ポリマーは、幅広い分野で活用できるという。例えば、マットレスや靴底に使用されるポリウレタンの構成要素、生物医学で広く使用されている化学物質のポリエチレングリコール、電池の電解質として使用されることもあるポリエチレンオキシドなど、さまざまな物の生物由来の代替品としての用途が挙げられている。

さらに、蛍光プローブや色素といった他の化学基を糖分子に結合させてさらなる機能性を加えることができ、生物学的センシングや化学センシング用途に用いることが可能だ。研究者らは、今回開発されたポリマーを使って、商品パッケージからヘルスケアやエネルギー材料まで、より持続可能な方法で幅広く応用できることを目指すとしている。

このポリマーは豊富な天然資源である木材から作り出せる持続可能な材料であり、原油製品への依存度を下げることにもつながる。研究チームは、この材料を数百グラム生産できており、この技術の特許を申請済みだ。今後、産業界と協力して生産規模を拡大し、この新素材の活用用途を探求していきたいとしている。

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