東レは2021年7月27日、環境負荷物質を使用しない植物由来成分を原料とした新規接着剤を開発し、東レ・デュポンおよび東レハイブリッドコードが同接着剤の接着技術を確立したと発表した。
タイヤや自動車用ホース、自動車用ベルトなどのゴム製品を補強する際、レゾルシン・ホルムアルデヒド(RF)を含んだ接着剤(RFL接着剤)がこれまで用いられてきた。しかし、RFは長期的に暴露した場合に身体に悪影響を及ぼす可能性があり、環境にも負荷を与えるため、RFを含まない接着剤の開発が課題となっていた。
今回東レは、合成繊維とゴム組成物を接着する同社の従来技術をベースに接着剤の組成を最適化し、RFL接着剤と同レベルの接着性能を有しつつ、RFを含まない接着剤を開発した。合成繊維への接着剤加工プロセスでRFを排出しないことで環境負荷を低減できるほか、植物由来原料を接着剤の成分に用いており、従来の手法と比較して温室効果ガスの排出量を抑えられる。
さらに、同接着剤は応用範囲が広いことも特長となっており、炭素繊維やビニロン繊維といった他の合成繊維とゴム組成物の接着にも使用できる。
東レの新規接着剤開発を受けて、東レハイブリッドコードは同接着剤を用いたゴム補強用繊維製品(コード)の加工生産に向けた新たな接着技術を確立した。また、東レ・デュポンが製造販売するアラミド繊維への加工も可能となっている。
東レグループは、国内にて原糸の開発や生産、接着技術開発、接着加工生産の一貫体制を有している。今回開発した接着剤は、コード生産時に従来の生産設備を利用できるため、今後は合成繊維とゴム生成物の接着での標準的な加工材料として同接着剤を活用する。