5G(第5世代)移動通信システムとは?仕組みやメリット、今後の展望について解説!

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現在スマートフォンなどで使用され始めている最新の移動体通信システムである5G(Generation)(第5世代)移動通信システムについて、その発展の経緯、その仕組み、およびそれによってできることやデメリット、およびその使用でどのような社会が実現するのかを紹介し、さらに今後の展望について解説します。

5G(第5世代)移動通信システムとは?

5G移動通信システムの発展の経緯を振り返り、また従来の4Gとの違いは何かなど、どのような特徴があるのか、そしてそれを実現している仕組み、さらに各携帯電話会社の運用状況、最後に今後の展望についても説明します。

通信システムの1G世代は、1980年代に登場した音声通話だけの機能しか備えていなかった携帯電話の世代であり、2G世代は1980年代に普及し、通信がアナログからデジタルに移行し、メールやインターネットができる通信機能が搭載された通信機器の世代でした。

2000年代に普及した3G世代では、世界標準の規格を採用し、通信の高速化が可能になり、4G世代は2010年代に普及し、LTE(Long Term Evolutionの略語で携帯電話の規格の一つ)という高速化技術によりさらなる大容量通信が可能になり、またスマートフォンが台頭した世代です。

そして5G世代は2020年を境に突入した世代です。この新しい5Gがすでに普及している4Gと比較してどのような特徴があるのか説明します。

5Gの特徴

主な特徴は3つあります。

1.超高速・大容量が実現可能
最高伝送速度が10Gbps(10Gビット/秒)であり、4G(LTE)に較べて約100倍の伝送速度

2.多数同時端末接続が可能
接続端末数は100万台/km2であり、4G(LTE)の100倍

3.超低遅延が可能
1ミリ秒程度の超低遅延であり、4G(LTE)の1/10と非常に低い

5Gを実現する技術的な仕組み

ここで、この5Gを実現している仕組みについて説明します。5Gの高速・大容量は、下り(受信)最大20Gbps以上、上り(送信)最大10Gbps以上が達成目標です。この高速を実現するのが30GHz前後のミリ波と呼ばれる周波数帯域の使用です。

従来の4Gまでは、一般向けの通信サービスには障害物に弱いミリ波が使用されてきませんでしたが、この5Gでは帯域幅が広くとれるミリ波を採用しました。しかし、ミリ波は障害物に弱いため、セルのエリアを小さくする必要があります。そしてある程度広いエリアを確保するためにはSub-6Gと呼ばれる6GHz以下(日本では、3.5GHz、または4.5GHz)を使用します。さらに広いエリアを確保するために、今後はLTE/LTE-Advancedで使用している周波数帯域を5Gに転用できるようにする予定があります。

また、これらの周波数帯で超高速・大容量通信を実現するためにはMassive MIMO(超多素子アンテナ)による指向性を持たせたビームフォーミングを形成することで、カバレッジの拡大、複数ユーザーとの同時通信によるセル容量の拡大などを実現します。さらに周波数帯域やカバレッジ等の異なる複数のセルで制御情報とユーザーデータを分離して伝送すること、具体的にはカバレッジの広いマクロセルで制御情報を提供(C-plane)し、超高速通信等が提供可能なスモールセルでユーザーデータを提供(U-plane)しています。

その他、ネットワークスライシング技術(ネットワークを仮想的にスライス、つまり分割する技術)をコアネットワークや無線アクセスネットワーク(RAN)に導入することで、5Gの要求条件や異なる要件に柔軟に対応し、サービス毎に最適なネットワークを提供します。

またモバイル・エッジコンピューティング(ネットワークエッジでクラウドやITサービスを提供する機能)により超低遅延が求められる自動車などについて、ユーザーの近くにデータ処理等を行うMECサーバーを配置することで、高速(低遅延)でサービスを提供することが必要となります。これらはすでに一部実現されています。

携帯電話各社の5G運用状況

ここで、各携帯電話会社の5Gの運用状況を説明します。

NTTドコモは、3.7GHz/4.5GHz帯の2枠と28GHz帯の1枠を獲得し、2020年3月25日に5Gのサービスを開始しました。

KDDIは、3.7GHz/4.5GHz帯の2枠と28GHz帯の1枠を獲得し、2020年3月26日に5Gのサービスを開始しました。

ソフトバンクは、3.7GHz/4.5GHz帯と28GHz帯の1枠をそれぞれ獲得し、2020年3月27日に5Gのサービスを開始しました。

楽天モバイルは、3.7GHz/4.5GHz帯と28GHz帯の1枠をそれぞれ獲得し、2020年9月30日に5Gのサービスを開始しました。

今後は5G実現のために設備の充実を一層図り、その適応エリアを拡大し、さらに6Gに繋げる計画です。

5Gを利用することでできること

5Gを利用することでできる、高精密なライブストーリーミング配信、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)体験技術の進化、遠隔技術の進歩による自動運転、建設機械の遠隔操作、遠隔手術、ストレスフリーなリモートワークなどについて説明します。

ここでは5Gを利用することについてできることを、市民生活と企業活動に対して分けて説明します。まず第1に市民生活がどのように変わるのかについて述べてみたいと思います。

[生活]2時間の映画を3秒でダウンロード

5Gによる高速・大容量のデータ伝送により、ブロードバンドサービスが可能になります。例えば、ライブストーリーミング配信により2時間の映画をたった3秒でダウンロードできるようになります。4Kや8Kといった超高画質な動画の視聴も快適にできるようになります。また体験技術の進化により、VR/ARはより没入感を実感できます。これはゲームや娯楽だけではなく、医療や産業の分野にも貢献できることが期待されています。

[生活]カメラを切り替えて好きな視点からスポーツ観戦

次に多数同時端末接続が可能になり、スポーツの楽しみ方が変わります。例えば、全競技をリアルタイムで見ることができ、選手をカメラで撮って選手データを取得することができます。その他にもワンタッチで視点切り替えリクエストが可能で、好きな場所からゲームを見ることができるようになります。

また買い物の形態も変わってきます。多くのセンサーやアンテナを使用し、商品管理通信や欠品補充情報などを利用できるようになり、非常に便利になります。現在使用している手押しのカートも自動追尾カートにとって代わり、買い物も非常に楽になります。

もちろん決済も口座から自動的に引き落とされるようになります。またスマホ、PCをはじめ、身の回りのありとあらゆる機器をネットワークに接続し、家庭のセキュリティの質を高めるだけでなく、今よりもずっと便利な生活を実現できます。

[生活]自動運転の機能を向上、交通事故や渋滞を削減

さらなる超低遅延でのデータ伝送が可能になり、交通事故や渋滞を抜本的に削減し、移動の便利性を飛躍的に向上させる自動運転が可能になります。

[企業]大量かつ多種類のリアルタイムデータを収集/解析可能に

次に企業活動に対してできることを説明します。高速・大容量のデータ伝送により、大量で、多種類のリアルタイムデータを収集および解析することが可能になります。このことで調達、製造、販売、在庫管理などのオペレーションの最適化が可能になります。さらにリスク管理、マーケティング戦略の高度化、並びに新規事業の創出までも可能になります。

[企業]自律型のモビリティシステムを実現

多数同時端末接続により、前述の利点と合わせて、自律型電気自動車、自律型電動車いす、ネットワーク制御型工事車両、自律型ロボット、ドローンを含めた自律型モビリティシステムの実現が達成できます。

[企業]ロボット等の操作を精密に、リアルタイムに

超低遅延でのデータ伝送により、ロボット等の精密な操作をリアルタイムで行うことが可能になります。もちろん手術なども遠隔で行うことが可能になります。また自宅にいながら、会議に参加でき、建設現場の建機の状態チェックや操作を行い、また農業では、農作物の生育状態をリモートで管理するなどのストレスフリーなリモートワークも可能になります。

5Gのデメリット

5Gを利用することによって市民生活が格段に便利になり、また自動運転システムの構築、遠隔操作、データ収集、解析により企業活動も従来とは非常に異なったものになることを説明してきましたが、果たしてこのような便利なことだけが実現されるでしょうか。5Gでは、超高速・大容量伝送の実現、多数同時端末接続が可能になるため、情報漏洩にさらされるリスクが増加し、またサイバー攻撃を受けるリスクも増加することが懸念されます。いくつかのリスクや懸念事項が存在しますので、ここから説明していきます。

企業や家庭からの情報漏洩や、サイバー攻撃のリスク増

5Gによって高速・大容量のデータ伝送により、ネットワーク内のトラフィック量(通信量)が劇的に増えていきます。このため、IoT(モノのインターネット)により、例えば自動車や家電、日常使用する機器のような「モノ」自体をインターネットに繋げ、より便利になるように活用すると、会社の事務所や家庭のあらゆる場所から情報漏洩のリスクが発生します。しかもトラフィック量が多くなるので、漏洩する情報量が非常に多くなり、さらに多くの機器がWEBカメラや位置情報に接続されることから情報漏洩の機会も多くなり、その分リスクが増大します。

もう一つ、悪意のあるマルウェアを送り込むなどのサイバー攻撃のリスクがあります。サイバー攻撃は、データを意図的に破壊したり、見えにくくしたり、さらにネットワークを停止したりすることで、個人や企業にダメージを与えます。金銭的な要求をするものもあります。さらにビットコインを盗んでしまうなどのことは、テレビでよく報じられていましたので、多くの方がご承知のことと思います。

繰り返しになりますが、5Gによって、ネットワークに接続する機器が多くなり、しかも多くの機器がWEBカメラや位置情報に接続し、またトラフィック量が多くなるのでサイバー攻撃のリスクが増大します。4Gと同様に5Gでも、スマホなどの端末の位置を特定されやすく、通話やメッセージも傍受されやすいリスクがあります。

またもう一つ考えなければならないことは、外国に本社がある会社の情報アプリを利用する場合です。このような場合、すべての個人情報、通信データを外国の本社のサーバーに転送され、知らぬ間に国内の情報を把握され、悪用されるリスクがあります。これを防止するためには、法律を定めた上でのセキュリティ対策が望まれます。

さらに現状では、5Gに対応しているデバイスが少なく、5Gを使用できるエリアも限定的です。スマホなどのバッテリーの負荷が大きいといったデメリットもあるので、こうした課題を解決しながら5Gの普及を待つことになるのでしょう。

まとめ

5Gの特徴である、高速・大容量のデータ伝送、多数同時端末接続、超低遅延により、市民生活が非常に便利になり、企業の活動も情報解析に基づき、ストレスフリーなリモートワークが可能になることを説明してきました。

しかしながらメリットだけではなく、デメリットである情報漏洩のリスクも増大します。このような時代になると法律を整備した上で、情報漏洩を防止するためのセキュリティ対策が必要不可欠となります。

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