青色レーザ出力1kWのBlue-IRハイブリッドレーザ発振器を発売 古河電気工業

古河電気工業は2021年11月24日、青色ダイレクトダイオードレーザ(青色DDL)と近赤外(IR)ファイバレーザを組み合わせた新型Blue-IRハイブリッドレーザ発振器「BRACE X(ブレイス エックス)」を2022年1月26日より販売すると発表した。同社の6kWファイバレーザと比較して溶接時の消費電力を30%以上削減する。

同社は、IRファイバレーザに独自のビームモード制御技術を合わせた銅材料のレーザ溶接技術やBRACE Iによる純銅のレーザ溶接技術を開発してきたが、加工時の加工飛沫(スパッタ)量や溶接できる厚さに対して適用領域が狭いという課題があった。青色レーザ出力をさらに高出力化したBRACE Xは、xEVのパワートレインで使われる銅材料に対して主要な領域をカバーできる。

BRACE X(型式BR1030)は、青色レーザ出力1kW(コア径300μm)、IRレーザ出力3kW(コア径50μm)のレーザ発振器を搭載。従来のBRACE Iと比べ青色レーザ出力で約7倍、IRレーザ出力で3倍高出力化している。

新たに日亜化学工業が開発した高出力、高信頼性、高ビーム品質の青色半導体レーザ技術と、同社のファイバレーザで培った光部品の合波技術を応用。ファイバコア径300μmで青色レーザ出力1kW、光密度1.4MW/cm2という世界トップクラスとなる極めて高い集光性を有する青色DDLを搭載している。

高い集光性をもつ青色DDLを搭載したことで、波長465nmと1070nmの2波長を同時、かつ高速に照射、制御できるガルバノスキャナへの適用に対応。青色DDL、IRファイバレーザの単独動作もでき、ビームモード制御技術をIRファイバレーザ側に適用することで、銅に加えて、鉄、ステンレスアルミ、銅とアルミの異材接合といったレーザ加工のマルチユースにも対応する。

BRACEⅠでは、厚さ1mm未満の純銅のレーザ溶接に対応していたが、BRACE XはxEV用部品で求められる2mm以上の純銅のレーザ溶接に対応。銅材料を最大出力1kWの青色レーザで十分に加熱し、溶融池を拡大して安定させるとともに、最大出力3kWのIRファイバレーザで純銅に対して2mmを超える溶け込みができる。

BRACE XとBRACE Iによる純銅(C1020)の加工結果の比較

ガルバノスキャナと組み合わせれば、平角線を適用したSC型モータのレーザ溶接による高速な結線に対応。一般的なレーザ溶接の目標溶接速度である溶接速度0.1秒/点に対し、青色レーザ出力1kWの適用効果で、平角線同士にギャップや高低差がある結線に対しても目標溶接速度を保てる。

また、青色レーザで入熱をコントロールすることで加工の際に発生するスパッタを抑制。溶接対象外の部品への影響を抑える。全体のレーザ出力も低減でき、SC型モータの結線溶接時に絶縁被膜への熱影響を低減するとともに、消費電力を同社の6kWファイバレーザ(型式FEC6000M)と比べ約30%削減する。

関連リンク

プレスリリース

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る