水素を動力源とする電気化学システムを用いて、空気中の二酸化炭素を99%回収する新技術

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水素を動力源とする新しい電気化学システムを用いて、空気中にある二酸化炭素の99%を効果的に回収する方法が実証された。この研究は米デラウェア大学によるもので、2022年2月3日付で『Nature Energy』に掲載された。

研究チームは、現在使用されている酸をベースとする従来の燃料電池に代わる、経済的で環境に優しい水酸化物交換膜型燃料電池(HEMFC)の改良に取り組んできた。しかし、HEMFCには空気中の二酸化炭素に極めて弱いという欠点があるため、燃料電池の性能と効率が最大20%低下し、ガソリンエンジンと同程度になってしまう。

研究チームは、数年前に、この欠点が二酸化炭素除去の解決策になるかもしれないということに気づいた。このメカニズムを徹底的に研究したところ、この燃料電池は入ってきた二酸化炭素のほぼ全てを回収し、反対側に二酸化炭素を分離する能力が非常に高いことが分かった。この「セルフパージング(自己除去)」プロセスを燃料電池スタックの上流にある別のデバイスで利用できれば、そのデバイスを二酸化炭素の分離装置に変えることができると研究チームは考えた。

そして今回、電気化学技術用電源を分離膜の中に埋め込む方法を発見した。その方法はデバイスを内部で短絡(ショート)させるというものだ。

膜の内部にこのデバイスのワイヤーを埋め込み、二酸化炭素分子が一方の側から他方の側へと移動しやすくなるショートカットを作成した。この方法で、小さな体積で大きな表面積を持つ、小型のらせん形モジュールを作ることができた。このモジュールは、一方の端にある2つの入口からそれぞれ水素と空気を取り込み、触媒コーティングされた大面積の短絡膜2枚を通過させた後に、反対の端にある2つの出口から二酸化炭素と二酸化炭素を含まない空気をそれぞれ放出する。このデバイスに水素を供給すると、水素は二酸化炭素除去プロセスの電力源となる。

この電気化学デバイスは、ガスを分離するための通常のろ過膜のように見えるが、空気中から微量の二酸化炭素を連続して捕捉する能力を持つ。

今回の研究では、25平方センチメートルの短絡膜を使用する電気化学駆動CO2分離装置(EDCS)が、流量2000標準立方センチメートル毎分の空気に含まれる二酸化炭素の99%以上を450時間連続して除去できることが示された。また、らせん形EDCSモジュールでは、流量1万標準立方センチメートル毎分の空気をろ過し、98%以上の二酸化炭素を除去できた。

このデバイスは、より小さなパッケージで一度に大量の空気をろ過できるため、燃料電池に利用する際に効果的で費用対効果の高いものになった。また、内部短絡膜を使うことで、燃料電池スタックに通常使われているバイポーラプレートや集電体、電線といったかさばる部品を取り除くことができた。部品点数が少ないのでコストも抑えられ、市場向けに簡単にスケールアップもできる。

自動車用にスケールアップすると、このデバイスは1ガロン(約3.8リットル)の牛乳容器程度の大きさになるという。他にも、宇宙船や潜水艦のように継続的なろ過が不可欠な場所で、より軽量かつ効率の良い二酸化炭素除去装置が将来的に可能になるかもしれない。さらに、水素を動力源としているため、水素経済が発展するにつれて、省エネ対策として空気の再循環が求められる航空機や建物でも利用される可能性があるという。

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