金属の破壊メカニズムを3D可視化技術で解析――定説と異なる結果が明らかに 京大とJASRI

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京都大学は2022年3月25日、同大工学部が高輝度光科学研究センター(JASRI)と共同で、大型シンクロトロン放射光施設SPring-8の設備を使い、金属が破壊される様子を直接観察できる「マルチモーダル3Dイメージング技術」を開発したと発表した。

研究グループは、SPring-8のBL20XUにおいて、X線CTとX線回折コントラストトモグラフィー法(DCT)を同時に同一試料に対して実施できる実験装置を構築。X線CTで破壊位置を特定し、その発展の様子を画像で取得すると同時に、DCTで結晶粒の形態、向きの情報をそれぞれ画像として取得できるようにした。この技術を使えば、画像を必要に応じて切り替えることで、同一の試験片から破壊の発生/進行と結晶粒の3D情報が得られ、金属に亀裂が入り、破壊が進行していく様子を観察できるようになる。

研究グループでは、この新たな技術を使い、水のある環境で金属材料内部に水素が侵入することで金属材料がもろくなって発生する脆性破壊の様子を、高強度アルミニウム合金を使って観察した。脆性破壊のメカニズムは、以前から国内外で研究が進められていたが、正確なメカニズムは分かっていなかった。

観察の結果、これまで定説と考えられていたメカニズムとは異なる形で破壊が進んでいることが分かった。従来は、水素が侵入した高強度アルミニウム合金では、「転位」と呼ばれるナノレベルの欠陥に水素が集まり、転位が結晶粒のある特定の個所で活発に動くようになって破断が起きるため、破断面は特定の向きに集中するとされていた。しかし、今回の観察では、水素の集積とは関係なく破断が起き、破断面の向きもランダムに分布していることが分かり、水素が侵入した高強度アルミニウム合金の脆性破壊メカニズムは、転位に起因するものではないということを証明した。

研究グループは「マルチモーダル3Dイメージング技術は金属の破壊現象だけでなく、材料に関するさまざまな現象を理解するための画期的な手法になる」としている。

今回の成果は、2022年3月25日、国際学術誌Materials Transactionオンライン版に掲載された。

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