手指形状と物体（部品や道具）との共起関係の学習
NECは2022年6月20日、数回分のお手本映像だけで数十種類の細かな作業を識別できる、AI画像識別技術を開発したと発表した。
近年、製造現場では自動化が進められてはいるが、人手による作業も依然多く残されおり、そこに生産性向上における課題が存在する。また、従来手指を使う細かな作業をAIで識別する際には、作業工程で用いる道具や部品を事前に登録した上で、多量の教師データを用いて学習する必要があった。
今回開発した技術は、指の関節と指先の合計42箇所の動きを対象に、手指形状の特徴量と指周辺の画像特徴量との共起関係を学習する方式だ。この方式での学習では個別の部品や道具の登録が必要ない。しかも数回分のみのお手本映像で学習モデルを作成でき、「モジュラージャックを取る」「電動ドライバーでネジを締める」などの数十種類の細かな作業を高い精度で識別できるようになる。
作業の識別により、規定値との違いを分析可能
同社によると、作業で用いられる部品や道具を事前登録することなく、作業を識別できる技術の開発は国内初となる。同技術を用いてグループ会社NECプラットフォームズのICT機器製造工程を撮影した映像に適用した結果、個別の作業時間を高精度で実測し、規定時間との差異分析ができた。
同技術を活用することで細かな作業にかかっている時間が測定できるようになり、正しい手順の確認や作業時間分析による生産性向上に貢献できるという。今後、同技術に関して製造や建設、物流、小売などの現場作業で検証を実施し、2022年度中の事業化を目指す。
