JAXAの超小型探査機、地球低軌道以遠での水推進による軌道制御に世界で初めて成功

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2022年11月26日、米航空宇宙局(NASA)のアルテミス計画第1弾ミッション「Artemis 1」で打ち上げられた超小型深宇宙探査機「EQUULEUS(EQUilibriUm Lunar-Earth point 6U Spacecraft:エクレウス)」が、目的地である地球―月ラグランジュ点へ向かう軌道に投入されたことを確認したと発表した。

ラグランジュ点とはある天体と別の天体との重力がつり合う平衡点であり、この2天体に対しラグランジュ点は5つ存在する。EQUULEUSは地球から見て月の裏側にある地球―月第2ラグランジュ点(Earth-Moon L2 point:EML2)を目指している。

宇宙機は、EML2から惑星間軌道や地球周回軌道など他の軌道にわずかな軌道制御で遷移することができ、また、反対にEML2にもわずかな起動制御で到達できる。このため、EML2は将来の深宇宙探査拠点となる「深宇宙港」の建造候補地点と目されている。

東京大学を中心に開発されたEQUULEUSの特徴は、水を推進剤に使用する推進装置を備えている点だ。地球低軌道(LEO)以遠での水推進による軌道制御の成功は世界初となる。

JAXAは、EQUULEUS打ち上げ後、一連の機能確認作業と、軌道変換制御や月の近傍を飛行する月フライバイ前後の軌道修正を行い、2022年11月22日(日本時間)に月フライバイを計画通り実施した。EQUULEUSはEML2へと向かう軌道に乗ったことが確認されており、今後は定常運用フェーズへと移行し、約1年半後にEML2への到達を見込んでいる。

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