NTNは2023年5月16日、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)で使用されるe-Axle向けの耐電食軸受「絶縁被膜付き軸受」を発表した。絶縁被膜加工を外輪外径と幅面へ施しており、耐電圧100V以上の絶縁性能で電食の発生を抑制する。
モータ、インバータ、減速機の3つが一体化したe-Axleは、バッテリーの電気で稼働するが、軸受内部に電流が通過した際にスパークが発生して金属組織が溶融すると、はく離などの損傷につながるため、軸受には電食への対応が必要とされている。
開発品の絶縁被膜付き軸受は、軸受内部への電流通過を低減する絶縁被膜加工を軸受の外輪外径と幅面に施している。耐電圧100V以上の絶縁性能を有しており、電食の発生を抑制し、バッテリーの高電圧化などに対応する。
モータ用軸受にかかる電圧は、バッテリー電圧の10%以下と想定。今後増加が見込まれるバッテリー電圧800Vに対応する耐電圧を有する。また、膜厚によって耐電食性と放熱性を両立。被膜加工を施していない標準品と同等の放熱性能を備えている。
摩擦係数が低く耐摩耗性に優れた絶縁被膜により、被膜加工を施していない標準品と比べ、外輪外径とハウジング内径の総摩耗量を88%低減。クリープ現象が発生した際も、絶縁に必要な被膜を維持できる。
今回開発した絶縁被膜は、高速深溝玉軸受を含む同社のe-Axle向け軸受商品に適用できる。同社はe-Axleの電食に対応する商品として、セラミック製の転動体を用いた軸受を提供してきたが、今後、コスト面に優れた開発品を電食対策商品のラインアップに加え、耐電食のニーズに対応する。