ソフトウェア、電気、ITまで知識の幅を広げ、設計開発者とユーザー2つの目線でドローンの領域に挑む___メイテック 奥村 弘高氏

株式会社メイテックは、全産業界の企業を対象にプロフェッショナルなエンジニアによる設計・開発業務のソリューションサービスを提供している企業だ。奥村 弘高氏は、メーカーでソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートした後、まだ経験したことのない業務へ挑戦するために、派遣エンジニアの道を選択。これまで精密機械、デジタルカメラ、監視カメラ、ドローンなど、新しい製品、業務に挑戦し続けている。ソフトウェア、電気、ITの異なる分野の知識を習得しながら、これからの社会で重要な役割を持つドローンの開発に携わっている奥村氏に、これまでのキャリアや、エンジニアという職業や派遣という働き方の魅力、そしてメイテックという会社についての考えを語っていただいた。(執筆・撮影:編集部)

──奥村さんがエンジニアを目指したきっかけを教えてください。

[奥村氏]私は子供の頃から鉄道が好きで、小学校3年生になると、毎週のように秋葉原にあった交通博物館に足を運んでいました。当時の秋葉原では、ラジコンやファミコン、パソコンなどが流行っていて、私もその流れに乗っていたのですが、ある時、雑誌でファミコンのコントローラーに連射回路を付けるという記事を見て、どうしても自分で作ってみたくなりました。そこではんだ付けを覚え、失敗を繰り返しながら自分の手でつくりあげました。思い返すと、これがものづくりの楽しさに目覚めるきっかけだったように思います。

その後も色々なものづくりを続ける中で、漠然とソフトウェアとハードウェア、どちらもやってみたいと考えるようになりました。そこで高校は情報系に進み、初めて買ってもらったパソコンでBASICやC言語でのプログラミングを覚えました。その後、大学ではハードウェアを学びたくなったので、電子回路を学べる電子工学科へ進学。自然な流れで将来はエンジニアになりたいと考えるようになりました。

──高校では情報を、大学では電子回路を学んだのですね。卒業後はどんな業界を志望したのでしょうか?

[奥村氏]実は、就職活動をしていた頃は業界へのこだわりがなくて、合同説明会で色々な企業を見て、制御系のソフトウェアの仕事ができそうな精密機械メーカーに就職を決めました。その会社は測定器や、ミクロン単位でものを動かす位置決め装置をつくっていたのですが、入社してみるとソフトウェア系のエンジニアは2,3人しかいなかったのです。工場での研修後、すぐに希望したソフトウェア開発の部署へ配属されることになりました。

──部署に配属後はどのような仕事をされましたか?

[奥村氏]担当したのは自動車ヘッドランプ用の検査装置で、装置に組み込むソフトウェアの設計開発を行いました。会社に在籍した約8年間はずっとこの仕事を担当したので、設計開発からデバックまで一連の仕事の流れを理解することができました。また、設計開発だけでなく工場への装置据え付けにも同行したので、自分のつくったソフトウェアが現場でどう使われているのか、ユーザーから直接フィードバックを得ることができたのも貴重な経験でした。ここで得た技術はVisual Basicで、その他にも、工場の対応で工具の使い方や現場でのものづくりの流れも学ぶことができました。

今までと違うことをするために、メーカーエンジニアから派遣エンジニアへ

──業務の中で設計開発の一連の流れだけでなく、現場でものづくりの流れも知ることができたのですね。その後、転職されていますが、どんな背景があったのでしょうか?

[奥村氏]業績の悪化からソフトウェア開発の人員削減が実施されたのです。私もそのタイミングで退職を考えたのですが、周囲の人が引き留めてくれて、ソフトウェア開発ではなく装置の検査業務に異動することになりました。でも、半年もしないうちに「プログラムを書きたい」という想いが強くなり、転職活動を始めたのです。

──転職活動ではどんな点を重視されましたか?

[奥村氏]「今までと違うことをやってみたい」ということですね。仕事の合間に合同説明会などに参加して色々な会社の話を聞き、そこで初めて派遣という働き方に出合いました。私は元々、ソフトウェアもハードウェアも両方やりたいという想いがありましたし、ITの分野にも興味が出てきたので、複数の企業で働く機会のある派遣であれば、これまで経験したことのない業界、職種、働き方ができそうだと思ったのです。結果、合同説明会で出合った派遣会社に転職することにしました。

──派遣会社に入社してからはどのような仕事に携わったのでしょうか?

[奥村氏]大手精密機器メーカーのお客様先で、デジタルカメラのファームウェア開発に携わりました。私にとっては初めての民生品、そして大人数での開発を経験することになったのです。

勿論、デジタルカメラを扱うことも初めてだったので、まずは少しずつカメラの仕様を理解していきました。すると仕様の全体像が分かるようになり、お客様から与えられる仕様に対して、より良い機能を実現するための改善策を考えて、主体的に提案をするようになりました。同じ会社のメンバーを取りまとめるリーダーの役割も担うようになり、お客様への相談、交渉、製品の改善提案など、業務の幅が広がりました。以前の会社では、仕様を満たすソフトを一人で全てつくりあげていましたが、ここでは大人数をまとめ、分担しながら一つの製品をつくる仕事の進め方を学ぶことができました。どちらの仕事のやり方も経験できたのは、後の仕事にもつながるいい経験でした。

──民生品は初めてとのことですが、仕事を進める上で、何か意識の変化などはありましたか?

[奥村氏]そうですね、工場で使う精密機器と違って、民生品は生活の中で目にしたり、触れる機会が多いので、自分が担当した製品が販売店に並んでいるところを見られるのは、とてもやりがいを感じました。長くデジタルカメラに携わる中で、旅行中、他の人が使っているカメラがどこの製品か気になるようになってしまいましたが(笑)。他にもユーザーがどのようにカメラを使っているのか、不便なところはないか、何か改善できるところはないか、などを無意識に考えるようになりましたね。与えられた仕様に沿ってただつくり上げるのではなく、「製品を使うユーザーの目線に立って課題を考える」ことの大切さを学びました。

再度の転職。エンジニアの評価システム、待遇に魅力を感じ、メイテックへ

──こちらの派遣会社で約14年間、1社のお客様で業務を続けてこられたと思いますが、その後転職されたのはどのような背景があるのでしょうか?

[奥村氏]配属先のお客様の方針で、半年後に派遣契約が終了することになったのです。派遣元からは次の就業先を探す提案を受けていましたが、次も同じような製品のソフトウェア開発の業務になるだろうと言われました。しかし、次はこれまで経験したことのない電気やITの仕事に挑戦したかったので、このまま同じような業務に配属されるなら、自分で新しい仕事を探そうと考え、転職活動をすることにしました。

──その転職活動の中で、メイテックと出合ったのですね。

[奥村氏]はい。2回目の転職活動では転職エージェントを活用し、最終的に派遣会社3社から内定をもらいました。その内の1社がメイテックだったのです。メイテック入社の決め手になったのは、エンジニア派遣業界の中で大手だったこと、他の2社の時にはなかった、転職エージェントからお勧めだというアピールがあったこと、そして給与や福利厚生の条件が一番良かったことです。他にも、エンジニアの評価システムが明確で分かりやすかったのも安心感につながりました。前職の派遣会社では、自分の契約対価がいくらなのか、どうすれば評価や給与が上がるのかが不透明で分かりにくかったのですが、メイテックは契約対価だけでなく案件内容もエンジニアに全て開示していて、評価や昇給の仕組みも明確でした。それらの仕組みがとてもロジカルで、「まるでエンジニアがつくったような会社だな」と感じましたね。

──メイテックに入社してどのような業務を担当されたのですか?

[奥村氏]まず、カメラや画像処理の経験があったことから、監視カメラのファームウェア開発の仕事に配属されました。ここは今までの業務経験を生かした配属だったのですが、私の希望した「これまで経験したことのない業務」へのチャンスは約1年後に訪れました。社会的にも注目されているドローンの開発業務への配属が決定したのです。

2つの目線と課題提案のスタイルで、お客様のドローン開発を支える

──ドローンは注目度も高く、比較的新しい業界ですね。どのような技術、業務経験から配属が決定したのですか?

[奥村氏]お客様のニーズはドローンに搭載するカメラの画像処理。つまり、カメラで撮影した映像から対象との距離を測定したり、障害物を検出するセンシングの技術でした。配属が決まったのは、私が画像処理の経験や技術を持っていたことですが、取得した画像をきれいに処理する方だったので、センシングの領域は全くの未経験です。業界特有の専門用語も多かったので、覚えながら仕事に対応していきました。

──具体的にはどのような業務を担当されているのでしょうか?

[奥村氏]初めはドローンに搭載するカメラのソフトウェアやアルゴリズム開発を担当していましたが、業務の幅が広がり、飛行制御なども含む、ほとんどのソフトウェアの設計開発を担当するようになりました。私が開発している制御ソフトウェアにより、ドローンを人が操作するのではなく、自律的に飛行させることができます。また、決まったルートの自動飛行や、不審者を見つけた際にドローンで駆けつけたり、緊急時やバッテリー残量低下時に自動で着陸させたりすることもできるのです。

今ではお客様に実現したいことのイメージを確認し、新しいソフトウェアの仕様作成、改善検討、設計から実装テスト、飛行試験の実施から不具合対応まで、幅広い業務を任せてもらっています。業務の中ではこれまで得たC++やPython、Linuxの知識だけでなく、以前のメーカーや派遣会社の業務で得た、設計開発者目線とユーザー目線両方から考えることの大切さなどが生かせていますし、一人でソフトウェアの設計からデバックまで対応した経験や、お客様に改善提案を行ってきた仕事の進め方も、現在のお客様の役に立っていると感じています。

──技術だけでなく、仕事の進め方も今の業務に役立っているのですね。

[奥村氏]はい。新しい業界であることからお客様先にはモチベーションの高い人が多く、一人の担当範囲も比較的広いですし、意思決定や開発のスピードも早いです。自分の意見をどんどん発信するエンジニアが重宝されるので、私の仕事の仕方ととても合っていると感じています。これからも新しい技術を積極的に習得し、お客様やユーザーの課題解決に貢献したいですし、自分が得た技術や経験をお客様にしっかり引き継いで還元していきたいです。

エンジニアという職業の魅力、派遣という働き方の魅力とは?

──ここからは、エンジニアという職業の魅力や自社について伺わせて頂きます。まず、奥村さんが考えるエンジニアという職業の魅力や求められる素養について教えてください。

[奥村氏]私が思うエンジニアという職業の魅力は「お客様やユーザーの不便なことを便利にできる」ことです。だからこそ、私自身も業種や分野、課題の大小に関係なく、お客様やユーザーの課題を解決したいという想いで業務に取り組んでいます。課題解決の手段として技術的な知識はもちろん必要ですが、私はその知識を得ることを仕事とは思っていなくて、結局は興味があるからという、「好奇心」が源泉なのです。ものの仕組みを知りたい、つくる工程を知りたい。その好奇心さえあれば、エンジニアは自ら成長し続けることができると思っています。

──ありがとうございます。奥村さんはメーカー社員と派遣社員両方のご経験がありますが、派遣という働き方の魅力はどんな点にあると思いますか?

[奥村氏]そうですね、私は元々ソフトウェアもハードウェアもやりたい、経験したことのない製品、業務に挑戦したいと考えていましたから、メーカーで一つの製品に携わるよりは、常に新しい業務や製品に携われる派遣という働き方に魅力を感じました。他にも、派遣であれば専門の知識を持った担当営業が、第3者の視点から私にあった業務内容を紹介してくれるのも、キャリアにとってプラスだと思います。今のドローンの業務も、自分一人でキャリアを考えていたら、きっと候補にも入っていなかったと思います。こうして新しい経験が積めているのも、派遣という働き方ならではかもしれませんね。

奥村さんが研修会で使用したキーボード。これを基にメイテック社内で技術を共有する研修会を企画。

──それでは、メイテックという会社の魅力についてはいかがでしょうか?

[奥村氏]私の専門分野は組み込みソフトウェアエンジニアですが、電気やITにも興味があります。しかし、全ての分野の仕事を経験できるわけではないので、趣味のものづくりを通じて、興味のある技術や製品に触れるようにしています。例えば、これまでに月が見える位置と時間が分かるAndroidアプリを自作したり、Raspberry Piを使って天気予報を自動取得するガジェットなどを作成しました。こうしたものづくりを通じて、Pythonやアプリ開発、プログラミング、通信などの技術を学んできたのです。

最近はキーボードを自作する人が増えていて、自分も興味があったことから、会議アプリとの連携機能を備えたキーボードを自作しました。これが便利だったので、メイテックの社内でも業務や技術力の向上に役立つのではないかと研修の企画書を作ったところ、多くの人が協力してくれて正式に研修として実施することができたのです。このようにエンジニアが「やりたい」と思ったことを、会社が積極的にバックアップして実現できるところが、メイテックという会社の魅力だと思います。この研修では、自分の所属拠点だけでなく、組織の異なる拠点のエンジニアも協力してくれて、エンジニア同士がつながり合い、協力し合う文化を強く実感しました。

──最後に、エンジニアとしての今後の目標を教えてください。

[奥村氏]今まで経験したことがない業務や技術にいつまでも挑戦することを目標にしています。生涯プロエンジニアという働き方、約4,000社という多くの企業と取引のあるメイテックであれば、それを実現できると考えています。そして、これまで得た知識と経験も更に深掘りして、お客様やユーザーの課題解決ができる力を高め、世の中の多くの不便を便利に変えていきたいです。

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