- 2023-10-26
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- コバルト酸リチウム, ハイドロフラックス法, リチウムイオン電池, 出発原料, 北海道大学, 北海道大学大学院理学研究院, 層状コバルト酸リチウム, 正極活物質, 研究, 神戸大学, 蓄電池
北海道大学大学院理学研究院は2023年10月25日、神戸大学と共同で、低温かつ短時間で、リチウムイオン電池の正極活物質として使用されている、コバルト酸リチウムを合成する手法「ハイドロフラックス法」を開発したと発表した。300℃で30分という短時間で、市販品と同等の結晶性を持つ層状コバルト酸リチウムの合成に成功した。
リチウムイオン電池の最もコストの高い部材が正極活物質で、原材料の価格に加え、生産プロセスによるコストも課題となっている。リチウムイオン電池の正極活物質として広く利用されている層状岩塩構造を持つコバルト酸リチウムは、通常800~1000℃の高温で10~20時間の長時間の焼成工程を経て合成される。
500℃以下の温度で合成すると、結晶構造の異なるスピネル型コバルト酸リチウム(=低温相)が得られる。このため、層状コバルト酸リチウムは、高温のみで合成できる高温相であると考えられてきた。
研究グループは、従来の固相法に代わる合成法として、ハイドロフラックス法を開発した。この手法では、やや過剰に出発原料の水酸化リチウムを使用し、水酸化ナトリウムと少量の水をそこに加え、水酸化リチウムの融点を下げて反応温度で液相を形成し、水酸化コバルトとの反応性向上を狙う。この反応は、コバルト酸リチウムの結晶成長が300℃で促進され、不純物の生成を抑制できることを見出した。
また、反応経路を明らかにする試みを実施。コバルト源の水酸化コバルトが岩塩型酸化コバルトへの構造変化を経由して、液相中に溶解し、リチウムとの液相中での反応で、コバルト酸リチウムが形成されることを確認した。この反応過程を追跡すると、300 ℃到達後30分という短時間で、コバルト酸リチウムの結晶成長が完了した。
今回、さらに低温となる150℃での層状コバルト酸リチウムの生成を確認。合成が、スピネル型コバルト酸リチウムが形成される反応とは異なる反応経路で進行することを明らかにした。
ハイドロフラックス法は、基本的に出発原料の選択と組み合わせが従来の固相法と異なるだけで、特別な設備が必要ない。また、蓄電池材料に限らず、さまざまなセラミックス材料の製造プロセスへの応用展開が期待される。
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