ドローンエンジニアになるには?将来性や仕事内容、年収、必要な資格を解説!

2022年度の国内ドローンビジネスの市場規模は3086億円。そして2023年度には3828億円、2028年度には9340億円にまで拡大すると見込まれています(インプレス総合研究所「ドローンビジネス調査報告書2023」より)。

そんな急成長しているドローンビジネスを支えるのが、ドローンエンジニアです。しかし、成長途中の市場であるがゆえに、ドローンエンジニアについてよく知らない方も多いのではないでしょうか?

この記事では、ドローンエンジニアの将来性や仕事内容、年収、必要な資格などを解説しています。ドローンエンジニアに興味のある方は、ぜひご覧ください。

ドローンエンジニアとは?

ドローンエンジニアとは、ドローンを開発するエンジニアのことです。近年、さまざまな分野でドローンが活用されるようになりました。映画やテレビ、報道、プロモーションなどでの空撮。土地や道路などの測量。建物の屋根や壁面、橋、ダムなどの点検。これらの実用的な分野だけでなく、ドローンショーなどのエンターテインメント分野でも活躍しています。

また、農林水産省は「農業用ドローン普及計画」を策定し、「農薬散布」「肥料散布」「播種」「受粉」「農産物等運搬」「ほ場センシング(農作物の生育や病害虫の発生などを可視化)」「鳥獣被害対策」の7分野でのドローン普及を目指しています。

さらに、これからは物流業界や警備業界でもドローンが導入されていく見込みです。飛行するドローンだけでなく、水質調査や船体点検などができる水中ドローンも開発されています。ドローン開発はまだまだ拡大中であるため、ドローンエンジニアは非常に将来性があり、今後ますますの成長と需要拡大が期待できます。

ドローンエンジニアの仕事内容は?

ドローンエンジニアの仕事内容は、ドローンの機体を開発する「ハードウェア」と、制御プログラムを開発する「ソフトウェア」の2つの領域に分けられます。

また、開発対象も「民生用ドローン」と「産業用ドローン」の2種類に大きく分けられます。民生用ドローンは、主に操縦や空撮を趣味として楽しむことを目的としたドローンです。家電量販店などでも販売され、広く一般の方に使われています。それに対して産業用ドローンは、空撮や測量、点検、農業、警備、物流、水中調査など、各分野の用途に特化したドローンです。それぞれの業務に必要な機能をカスタマイズして搭載します。

ドローンの開発工程は、以下の3段階に分けられます。

1. 企画
2. 実装
3. 検証

それぞれ見ていきましょう。

1. 企画

ドローンを開発するには、まずどんなドローンを開発するかという企画が必要です。クライアントがいる場合はニーズをヒアリングして、コンセプトや必要とされる機能を決めていきます。また、特定のクライアントがいない場合は、市場で求められている機能をリサーチして企画を立案します。まだドローンが利用されていない分野への進出なども考えられるでしょう。

2. 実装

企画の次は仕様を決めて、具体的にハードウェアやソフトウェアを設計し、実装していきます。「こんな機能がほしい」と口に出すのは簡単ですが、それを実際の機体や制御プログラムに落とし込むのは難しいことも多いです。実装途中で新たな課題や提案が出てくることもあります。実装の工程は、ドローンエンジニアの腕の見せどころと言っても良いでしょう。

3. 検証

実装が終わっても完成ではなく、仕様を満たしているかを確認するための検証が必要です。ドローンはさまざまな分野で活用される便利なデバイスである一方、故障や誤作動などにより思わぬ事故やケガにつながることもあります。特に安全性に関する検証は、十分に実施する必要があるでしょう。

ドローンエンジニアの年収は?

ドローンエンジニアの年収は、おおむね500〜700万円とされています。しかし経験や実績、市場の成長拡大などにより、さらに高い年収も期待できます。参考として、エンジニア専門の転職支援会社である、メイテックネクストのホームページに掲載されている求人情報を見てみましょう。

>>メイテックネクスト ドローンの求人一覧はこちら

「ヤマハ発動機」は「年収500〜900万円」を提示しています。

ドローンや無人ヘリコプターの「組み込みソフトウェア設計」「電装システム設計」「電子回路設計」「知能化および自律化のためのセンシングシステムの提案、設計、制御設計」「要求把握からシステム構想、設計、試作、評価までのチームを率いた開発」など、専門技術分野によって職務内容は幅広いです。職種によっては「理工系大卒以上」「組み込みソフトウェア設計経験」「電子回路設計経験」などが必須です。また、TOEIC 500点以上の英語力や各種開発経験などが歓迎条件となっています。

また、「IHI」は「年収550〜1100万円」を提示しています。

ドローンや無人潜水艇、遠隔操縦建機などのロボットシステムの設計、機械系設計、制御系設計、制御アルゴリズム開発、ソフトウェア設計などが職務内容です。「ロボットなどの自動機械の開発経験」や「英文書を読解できるレベルの英語力(目安としてTOEIC600点以上)」が必須となっています。

ドローンエンジニアになるには?

ドローンエンジニアになるために何が必要か、以下の2つに分けて解説します。

1. ドローンエンジニアに必要な専門知識やスキルは?
2. ドローンエンジニアに必要な資格や試験は?

それぞれ見ていきましょう。

1. ドローンエンジニアに必要な専門知識やスキルは?

ドローンを開発するには、さまざまな専門知識やスキルが必要です。ハードウェア開発には、航空工学や材料工学、電子工学などの知見が要求されます。これらは理工学系の専門学校や大学、大学院で学ぶことが可能です。ソフトウェア開発では、C言語やC++、Pythonなどが使われます。プログラミング言語は独学でも習得できますが、ある程度の実務経験が求められるでしょう。

また、ドローンは新しい開発分野なので、クライアントや市場のニーズに応えるために斬新な発想力が要求されることもあります。そして、それを具現化できる高い技術力や忍耐力も必要です。日頃から幅広い分野にアンテナを張って、最新のテクノロジーや情報に触れておくと良いでしょう。

2. ドローンエンジニアに必要な資格や試験は?

ドローンエンジニアに必要な資格や試験はありません。そのため、他の分野でハードウェアやソフトウェアの開発経験があれば、そのキャリアが生かせると判断されてドローンエンジニアになれる可能性は十分にあります。

さらに、専門知識を証明できるとさらに有利です。理工学系や情報系の学位があると、未経験でもポテンシャルを評価され、採用される可能性があります。「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」「C言語プログラミング能力認定試験」「Pythonエンジニア認定試験」などの資格でも、ソフトウェア開発に関する専門知識の証明が可能です。

また、ドローンに関する資格としては「無人航空機操縦者技能証明」「DPAドローン操縦士回転翼3級」「無人航空機安全運航管理者」などがあります。ドローンについての知識や技能を証明するとともに、開発業務のバックグラウンドとしても役に立つでしょう。

ドローンエンジニアの会社選びのポイント

ドローンエンジニアになるための会社選びのポイントは、「これまでのキャリアを生かすこと」です。

ドローンメーカーとして有名なのは「DJI(中国)」「Parrot(フランス)」「3D Robotics(アメリカ)」で、世界3大メーカーとも呼ばれています。このように海外勢が強いドローン業界ですが、近年は日本でも大手企業からベンチャー企業まで、ドローンビジネスに参入してきています。

そしてそのほとんどは、民生用ドローンではなく産業用ドローンを手掛けています。産業用ドローンはカスタム開発がメインなので、空撮や測量、点検、農業、警備、物流、水中調査など、それぞれの分野に特化した知見が必要とされます。

そのため、たとえドローンの開発経験がなくても、これまでのキャリアを生かした会社選びをすることがポイントになるでしょう。また、これまでにない新しいドローンを世に出したい方は、大手企業よりベンチャー企業を選んだ方が働きやすいかもしれません。

ドローンエンジニアの仕事に携わる先輩の声

メイテックの奥村弘高氏は、初めはドローンに搭載するカメラのソフトウェアやアルゴリズム開発を担当していました。しかしその後は、飛行制御などを含めたほとんどのソフトウェアの設計開発に携わることに。新しいソフトウェアの仕様作成、改善検討、設計、実装テスト、飛行試験、不具合対応など、幅広い業務を任されています。
業務の中では、これまでさまざまな業務で経験してきた、設計開発者目線とユーザー目線両方から考えることの大切さなどが生かせていて、一人でソフトウェアの設計からデバックまで対応した経験や、顧客に改善提案を行ってきた仕事の進め方なども、ドローンの設計開発業務に役立っているそうです。

関連リンク


ソフトウェア、電気、ITまで知識の幅を広げ、設計開発者とユーザー2つの目線でドローンの領域に挑む___メイテック 奥村 弘高氏

まとめ

ドローンエンジニアの将来性や仕事内容、年収、必要な資格などを解説しました。

これからドローンはさまざまな分野での活用が期待されるため、ドローンエンジニアの需要はますます高まる見込みです。まだまだ伸びていく職種なので、エンジニアとして幅広く活躍できます。これまでのキャリアを生かした会社選びができると良いでしょう。

ドローンエンジニアのお仕事に興味がある方は、エンジニア専門の転職支援会社であるメイテックネクストにお問い合わせください。

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