NASAの火星探査ヘリコプター、地球と火星で次世代機を開発中

JPLraw/YouTube

米NASAのジェット推進研究所(JPL)は、2023年11月22日、次世代型の火星探査用ヘリコプターを、地球と火星で開発していると発表した。火星では2021年以来、現用ヘリの「Ingenuity」が66回の飛行に成功しており、本開発はこの後継機をつくることが目的だ。

地球での開発は、火星探査ヘリのローターのテストを実施した結果、回転速度が、ほぼ超音速(マッハ0.95)を達成した。一方、火星では、Ingenuityが実験飛行を継続し、火星での飛行高度と対気速度の新記録をつくった。

NASAは、JPLが保有する宇宙シミュレーター(幅8m、高さ26m)の中で火星の大気を模擬し、その中で、カーボンファイバー製のローターブレードをテストした。センサー類の測定値から、ブレードがより高速、より大きなピッチ角での飛行に耐えることを確認した。

このブレードはIngenuityのものより4インチ(約10cm)ほど長く、高強度だ。NASAはこのブレードで、より大型の火星探査ヘリの設計を目指している。ただし、超音速での回転中にブレード先端が振動して乱気流が発生し、姿勢制御が困難になる課題がある。

火星でテスト中のIngenuityは、通常の飛行時間が2~3分程度だ。より広い地域をカバーするためには飛行速度を上げる必要があるが、トレードオフとして、搭載するナビゲーションシステムの制御機構が地表面を認識する際に混乱し、現在地を見失う可能性がある。

この課題に対してチームは、撮影時の高度を上げるよう変更するコマンドを送信した。この結果、61回目の飛行では、高度78.7フィート(約24m)の新記録を達成、62回目では、時速22.3マイル(秒速約10m)の速度記録を作った。

関連情報

NASA Uses Two Worlds to Test Future Mars Helicopter Designs – NASA
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