将来への期待度とIT技術者の満足度との相関性を確認―― IT技術者の離職抑制に寄与 大阪公立大学高等専門学校と近畿大学

大阪公立大学工業高等専門学校は2023年12月19日、同校と近畿大学との研究グループが、将来への期待度とIT技術者の満足度との関係を明らかにしたと発表した。

さまざまな業種において、IT技術者の人材不足が深刻化している。このため、IT技術者の満足度を向上させて、離職を抑制することが重要となっている。

また、先行する研究において、満足度と企業利益との関連が示されている。加えて、技術者の離職意思が強い場合に優秀な人材が流出し、再雇用コストがかかることが指摘されている。

IT技術者以外においては、満足度と離職意思が下記のような「見通し指標」と関係があることがこれまでに分析されている。

1. 10年後の自分の会社のあるべき姿を認識している
2. 日々の仕事を消化するだけになっている
3. 上司から仕事上の目標をはっきり示されている
4. この会社にいて,自分の10年後の未来の姿にある程度期待がもてる

同研究グループは今回、上記の見通し指標がIT技術者においても満足度や離職意思に影響していることを分析すべく、23人のIT技術者に対してアンケートを実施した。

アンケートの結果から、IT技術者においても、見通し指標が満足度や離職意思に影響していることが判明した。上記の質問1、3および4について「はい」、2について「いいえ」と答えている技術者ほど満足度が高く、離職意思が低い傾向を示している。

見通し指標、平均残業時間、転職回数に基づいて満足度を推定した場合、誤差は約10%に留まった。また、離職意思を推定した場合、誤差は約23%となった。

これらの結果から、IT技術者が所属する組織と業務に対して将来を期待できるような環境整備が、離職の抑制や企業利益の向上、再雇用コストの低減に寄与するものとみられる。

関連情報

中才先生:将来への期待度とIT技術者の満足度との関係を明らかに|大阪公立大学工業高等専門学校 知能情報コース

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