- 2024-3-8
- 製品ニュース, 電気・電子系
- e-Bio Fuel-Cell, SOFC, SOFCスタック, ソルガム, ソルガムバイオエタノール, バイオエタノール, バイネックス, メタルサポートセル, 固体酸化物形燃料電池, 定置型発電システム, 日産自動車, 燃料電池システム, 車載用SOFC
日産自動車は2024年3月6日、栃木工場にて、バイオエタノールを使用して高効率に発電する定置型発電システムの、トライアル運用を開始したと発表した。トライアル運用を通して発電量を向上させながら、2030年からの本格運用を目指す。
同社は、自動車の動力源として、2016年に固体酸化物形燃料電池(SOFC)を発電装置とした燃料電池システム「e-Bio Fuel-Cell」の技術を、世界で初めて車両に搭載した。今回開発した定置型発電システムには、その車載用SOFC開発の経験を生かし、応用していく。
SOFCは、高温で作動する改質器を使用し、エタノール、天然ガス、LPガスなどのさまざまな燃料を酸素と反応させ、発生した水素を利用して発電する。固体高分子形燃料電池(PEFC)の発電効率は60%だが、SOFCは高温で作動するため触媒の活性度も高く、日産SOFCの燃料電池単体の発電効率は70%と高効率となっている。
今後は、SOFCスタックの構成部品であるメタルサポートセルを開発し、セル強度を向上していく。これにより、将来的に再生エネルギーと連携した際に、SOFCシステムを効果的に運転できる。
今回の定置型発電システムでは、バイネックスと共同開発したソルガムを原料としたバイオエタノール(以下、ソルガムバイオエタノール)を採用し、同社から2025年より調達する予定。SOFC発電時にソルガムバイオエタノールが放出するCO2 は、ソルガムが成長する過程で大気中のCO2 が吸収されたもので、カーボン・ニュートラル・サイクルの実現に貢献する。
イネ科の一年草植物であるソルガムは生育が早く、約3カ月で収穫できるため、栽培適地では年に複数回収穫できる。また、寒冷地や乾燥地にも順応する。茎部分はエタノールの原料、実部分は食料に使用できるため、食料との競合が発生しない。搾汁後の茎の絞りカス(バガス)は、バイオマス発電に活用できる可能性がある。