三井E&Sは2024年3月7日、ドイツのMANエナジーソリューションズSEと共同で、シリンダー直径50cmの大型舶用テストエンジンでの水素燃焼運転に世界で初めて成功したと発表した。
同社のテストエンジンの4つのシリンダーのうちの1つを、LNG(液化天然ガス)焚きエンジンをベースにした水素燃焼用に改造。23年10月に玉野工場内に完成させた水素ガス供給設備とのカップリング運転を行った。
その結果、水素が漏えいするなどの不具合もなく、テストエンジンの100%負荷運転に成功した。水素燃料は着火しやすく、適切な燃焼制御をする必要があるが、この100%負荷運転では、シリンダーの95%相当の熱量を水素燃料で賄い、従来燃料で運転する他の3シリンダーと同等の燃焼圧力波形が得られた。
これによって、既存エンジンのデザインをベースに、安定した水素燃焼を行えることや、エンジンに必要な高圧水素を水素供給設備から安定供給できることを確認した。
同社は2022年6月に水素供給設備を建設した。今後、さらに技術改良や試験を進め、海運業界の温室効果ガスの削減に貢献できる舶用推進システムの実用化を進めていく。