衣服に印刷して電力を供給できる超薄型軽量キャパシタを開発

ノッティンガム・トレント大学は2024年9月16日、同大学と西イングランド大学、エクセター大学の共同研究チームが、生地にインクジェット印刷して電力を供給できるスーパーキャパシタを開発したと発表した。衣服の生地と電子回路やセンサーを統合してウェアラブル機器着用時の快適性を保つ「e-テキスタイル」の実現に役立つ。

スーパーキャパシタは、エネルギーを電気化学的に貯蔵して充放電を行う。リチウムイオン電池など従来の充電池に比べ高速に充放電でき、寿命が長く費用対効果に優れるという特徴がある。しかし、スーパーキャパシタはポリイミド、紙、シリコンウエハ、ガラス基板といった柔軟性や通気性に欠ける素材に形成されてきたため、e-テキスタイルへの利用が難しかった。

今回の研究では、スーパーキャパシタの材料に導電体としてグラフェン、半導体として二硫化モリブデン(MoS2)、絶縁体として六方晶窒化ホウ素(h-BN)を用いた。これらを原子の単層からなる極めて薄い二次元材料に加工し、導電性のグラフェン層で半導体(MoS2)と絶縁体(h-BN)を挟みこんだヘテロ構造とした。インクジェット印刷は繊維のような基材に対し精密に材料を堆積でき、こうしたヘテロ構造に適しているという。この構成では1mV/sのスキャンレートで1cm²あたり28.18mFの静電容量が得られ、グラフェンのみの場合と比較して約58%向上した。また、1000サイクル後も98.87%の性能を維持していた。

研究者らは、今回開発した薄くて柔軟な電源をe-テキスタイルに利用すれば、個人の健康をモニタリングでき、医療現場における診断のサポートやパーソナライズされた医療の提供に有用だと考えている。

研究成果は『Advanced Functional Materials』誌2024年9月9日号に掲載された。

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