- 2025-2-13
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- 2進数, AND回路(論理積回路), NAND回路, NOR回路, NOT回路(論理否定回路), OR回路(論理和回路), コンピュータ, デジタル信号, 全加算器, 加算器(加算回路), 半加算器, 基本論理回路, 論理回路(デジタル回路)
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論理回路はデジタル回路とも呼ばれ、デジタル信号を処理してさまざまな機能を実装できるものです。論理回路自体は単純な論理演算を行うものですが、いくつも組み合わせれば複雑な処理が可能になります。
この記事では、論理回路の基礎知識について解説します。初心者の方はぜひ参考にしてください。
論理回路とは? 初心者向け基礎知識
コンピュータの内部では、あらゆるデータを「0」と「1」の2進数で処理しています。この「0」と「1」がコンピュータで扱う情報の最小単位で、「ビット」と呼ばれます。多くの場合、出力される電圧が高い状態を「1」、低い状態を「0」として扱います(逆の場合もあります)。
電圧の高低がデジタル信号として入力されると、「論理回路(デジタル回路)」が一定のルールに従って信号を処理し、新たなデジタル信号を出力します。
このような、2進数による演算処理を行う回路がコンピュータの内部には数多く含まれており、「0」と「1」を組み合わせることで、コンピュータはさまざまな情報を表現しているのです。
情報を処理する論理回路には、「AND回路」「OR回路」「NOT回路」「NAND回路」「NOR回路」などがあります。そのうち、基本となるのが「AND回路」「OR回路」「NOT回路」の3種類で、基本論理回路と呼ばれます。この3種類の組み合わせによって、さまざまな機能を持つ回路を作成できます。
論理回路の種類と特徴
ここからは、「AND回路」「OR回路」「NOT回路」の3種類について、それぞれの特徴を解説します。
基本論理回路①:AND回路
AND回路(論理積回路)は、全ての入力条件が満たされた時に出力を行う回路です。演算する2つの値が両方とも「1」であった時、演算結果が「1」となります。
例えば、LEDにスイッチAとスイッチBの2つが直列でつながれている場合、2つともオンの時に初めてLEDが点灯します。スイッチAとスイッチBが両方オフ、あるいはどちらか1つがオフになっていると、LEDは点きません。このような回路がAND回路です。
基本論理回路②:OR回路
OR回路(論理和回路)は、少なくともいずれか一方の入力条件が満たされた時に出力を行う回路です。
LEDにスイッチAとスイッチBが並列でつながれている場合、スイッチのどちらか1つでもオンになっていれば、LEDが点きます。つまり、Aだけオン、Bだけオン、AとB両方のスイッチがオンという3つのパターンでLEDが点くのがOR回路です。
基本論理回路③:NOT回路
NOT回路(論理否定回路)は、反転演算を行う回路です。反転演算とは、入力された値と逆の値が出力される仕組みです。「1」が入力されれば「0」が出力され、「0」が入力されれば「1」が出力されます。
論理回路における真理値表の読み方
コンピュータ上では全ての情報を「1」と「0」のビットで表し、論理回路によって処理を実行します。この時に使用されるのが「真理値」という値です。真理値は「真(1、true)」と「偽(0、false)」のいずれかで表されます。
真理値表とは、論理演算の入力値と出力値を表にしたものです。一般的に、左側の列に入力値(aとb)、右の列に出力値を並べて記入します。各項には「真(1、true)」と「偽(0、false)」のいずれかが入ります。
以下は、AND回路、OR回路、NOT回路の真理値表の例です。
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(AND回路の例)
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(OR回路の例)
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(NOT回路の例)
半加算器と全加算器の仕組み
加算器(加算回路)とは、2進数の加算(足し算)をする論理回路のことです。「半加算器」と「全加算器」があり、これらは基本論理回路を組み合わせて実装できます。
2進法で加算を行う際、「0+0=0」「0+1=1」となりますが、「1+1」では「1+1=10」となり桁が1つ増えます。新たに増えた10の位の「1」は、「キャリー(桁上げ)」として出力されます。
加算器のうち、キャリーを考慮せず、2つのビット(1桁の2進数)の和のみを求めるものを「半加算器」と呼びます。一方、キャリーを考慮し、2つのビットと下の桁からのキャリーという3つの和を求めるものが、「全加算器」です。
半加算器は下の桁からの繰り上がりを考慮しないため、最下位桁の加算にしか使用できません。そのため、最下位桁以外の加算をする時には全加算器を用います。
半加算器は、「AND回路2つ、OR回路1つ、NOT回路1つ」という基本論理回路の組み合わせによってつくることができます。全加算器は、「2つの半加算器とOR回路」で構成されています。「半」と「全」と呼ばれているのは、半加算器を2つ使用すると全加算器をつくれるためです。
身近にある論理回路の具体例
論理回路は、私たちの身近にあるさまざまなものに使用されています。3種類の基本ゲート回路ごとに見ていきましょう。
AND回路は、2つの条件を両方満たすと作動するものに用いられます。例えば電子レンジは、「ドアが閉まっていること」「スタートボタンが押されること」という2つの条件を両方満たして初めて作動します。
OR回路は、いずれかの条件を満たす時に作動する仕組みです。例えばセキュリティシステムにおいて、複数のセンサーがある場合も、いずれか1つのセンサーが異常を検知した時点で警報を鳴らすことができます。
NOT回路は複雑そうに思えますが、実は多くの場面で活躍しています。例えば制御システムでは、機械が動作していないときにアラームを鳴らす、という安全装置にNOT回路が使用されます。
まとめ
論理回路はコンピュータが情報を処理し、表現するために欠かせない重要な仕組みで、「AND回路」「OR回路」「NOT回路」の3種類を基本としています。これらの基本論理回路をいくつも組み合わせることで、複雑な演算処理が可能になります。
論理回路はコンピュータをはじめとする多くの電子機器に利用されており、さまざまな業界に深く関連しています。その仕組みを覚えておけば、多くの場面で役立つでしょう。
ライタープロフィール
fabcross for エンジニア 編集部
現役エンジニアやエンジニアを目指す学生の皆さんに向けて、日々の業務やキャリア形成に役立つ情報をお届けします。