タミヤの全部がある楽園——東京 新橋の「TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO」で物量と愛に圧倒された

プラモデル、ミニ四駆、RCカーや工作シリーズなど、ものづくりを愛する人たちの心に刻まれてきたタミヤの製品たち。東京の拠点として長年営業していた「タミヤ プラモデルファクトリー 新橋店」は、2024年5月24日に「TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO」としてリニューアルオープンを果たしました。ここが静岡市の本社に負けず劣らず、すごい場所になっているんです。

商業ビルの1階を貫く全長100m/天井高さ4mの空間には、タミヤの製品約6000アイテムがずらり。懐かしいものから最新のパーツまで、大ボリュームで埋め尽くしています。誰でも気軽に使えるカフェや、力試しや交流にうってつけのミニ四駆サーキットも併設し、アパレルやグッズなどお土産も大充実。「タミヤの今が、ここにある。」というコンセプトにたがわぬ新スポットに、fabcross編集部メンバーでお邪魔してきました。

1/1「エアロ アバンテ」とカフェがお出迎え

東京都心、新橋駅から徒歩5分ほど。オフィスビルや飲食店が立ち並ぶ空間に、突然おなじみの二つ星マークが見えてきます。ここTAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYOは、タミヤ直営のフラッグシップ拠点。2008年から15年ほど営業していたタミヤ プラモデルファクトリー 新橋店が大幅リニューアルし、道路を挟んだ「新虎安田ビル」のオープンに合わせて開業しました。

全長4.65×全幅2.80mのエアロ アバンテ。リアルスケールで見るシャーシやローラーの存在感は新鮮だ。

まず目を引くのは、圧倒的な存在感を放つ1/1スケールミニ四駆エアロ アバンテ。 実写版ならぬ実“車”版として、手のひらサイズのミニ四駆をリアルなレーシングカーのサイズに再設計。360度、あらゆる方向からじっくり眺めれば、流線型ボディの美しさや意外なディテールにも気がつくことでしょう。これまでイベントで巡回展示されていた1/1エアロ アバンテですが、ここでは1年中いつでも楽しめます。

RCバギー「グラスホッパー」と「ホーネット」の40周年記念のラテアート

アバンテの隣にはカフェスペースを併設。スペシャルティコーヒーの人気店「ONIBUS COFFEE」監修のドリンクを飲みながら、買い物や仕事の合間にほっと一息つきましょう。タミヤ製品にフィーチャーしたラテアートや、施設内に並ぶ模型好きのスタッフたちによる作品たちも見どころ。フォークリフトの模型とおしゃれなコーヒーが並ぶ様子なんて、他ではなかなか見られません。

何気なく置かれているジオラマも、カフェのスタッフが仕上げた作品たち。バリスタとして採用されたのち、好きが高じて塗装や組み立ても行うようになった方もいるのだとか。

タミヤTシャツにトライダガー香炉まで。オリジナルグッズが大集合

TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYOは、商品カテゴリーで分けられたA~Fの6エリアとカフェ、そしてサーキットのある「MODELERS SQUARE」から構成されています。さっそく奥に進もう! と思ったのですが、カフェとエントランスに並ぶタミヤグッズに引きつけられてしまいました。

Tシャツだけじゃない! ゆりかごからオフィスまで着倒せるタミヤウェア

まずは定番のタミヤTシャツ。ホワイトとブラックの2色展開で、90cmサイズからXXXLまでバッチリそろっています。肩ボタンが付いたタイプは小さい子どもにお薦めで、英才教育に役立ちそう。大人になったファンはロゴ入りのネクタイやループタイをさりげなくあしらえば、職場で同好の士を見つけられるかも。

日常とサーキットのダブルで活躍するカバン

カバンも充実の品ぞろえ。スタッフお薦めのロールボストンバッグ(小)は、シンプルなデザインで扱いやすく、斜めがけでも手提げバッグスタイルでも活躍します。

写真右上、棚に並ぶのは「ピットイン バックパックII」。ミニ四駆が4台入るキャリーケースとその他の小物、ペットボトルもまとめて収納できる大容量が特徴です。広げれば一辺80cmほどの作業スペースになるフロアシートも同梱され、これさえあればレース会場でも困ることなし。

香炉と名刺入れ、ネオジャパンを感じる工芸品

ミニ四駆が香炉になった!?

実用的なものはもちろん、他ではなかなかお目にかかれない変わり種グッズも。「ネオトライダガーZMC香炉」は、アニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』の劇中でミニ四駆が噴射したジェット気流をお香の煙で表現。タミヤ創業の地である静岡市の老舗鋳物メーカー栗田産業が手がけた高級感あふれる仕上がりで、税抜き3万円という価格ながら、その魅力に惹かれた人たちが購入していくそうです。

こちらは名刺入れ。1582年創業の「甲州印伝総本家印傳屋上原勇七」が製作したアイテムで、鹿革にウルシで模様を付ける「甲州印伝(いんでん)」の技法で作られています。昔ながらの伝統技術と縁起の良いヒョウタン柄に、タミヤの二つ星マークが輝きます。「模型や工作も新しい伝統なのだ」と風格すら感じさせるアイテムで、ビジネスシーンでもきらりと光りそうですね。

食卓にタミヤ愛を添えたいなら、温度で色の変わるマグカップや、ミニ四駆「ハリケーンソニック」や「サイクロンマグナム」をかたどった純スズ製の箸置きがお薦め。往年の名機や名マシンを眺めながらのひとときは、きっと楽しさに満ちたものになるでしょう。

他にもTAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO限定販売のタンブラーやTシャツなど、オリジナルグッズがたっぷり。タミヤファンはもちろん、日本文化に興味のある観光客の心もばっちりつかんでいるようです。

模型、ラジコン、ミニ四駆! 世代を超える品ぞろえ

グッズエリアを抜け、タミヤの主力商品を扱うエリアへ移動。うずたかく積み上がる製品たちや美麗なサンプルに目が留まり、あっという間に時間が溶けていきました。

戦車からプテラノドンまで、時代を問わないスケールモデル

今のタミヤの礎を作ったスケールモデルは、飛行機や艦船、自動車やオートバイなどの定番に加え、動物や恐竜も充実。ちょっとしたパーツを組み立てたり、簡単な塗装をしたりするだけでも作る楽しさを味わえる商品で、初めての模型として初心者に人気なのだとか。

1億年以上の時を経て、ブラキオサウルスとスペースシャトルが共演。

憧れのRCモデルをその手に

こちらはリアルな車体を自分で操作できるRC(ラジオコントロール)モデルのエリア。小さい頃憧れたけど、なかなか手が届かなかった人にとっては夢のような空間です。少し勇気がいるサイズでも、大人になった今なら挑戦できるかも。

走る場所を選ばないバギーや、すぐに操縦を始められる組み立て済み品は、レジャーやキャンプのお供として購入されることもあるそうです。

令和のミニ四駆には動物が乗っている

圧巻のコレクションが壁を彩るミニ四駆エリア。格好良さやリアルさを追求したマシンの姿にはうっとりしますが、最近はそれだけではない新たなトレンドも。より若年層や工作に馴染みのない方に向け、組み立て作業が大幅に省略された、ドライバー席にキュートな動物が乗るシリーズが充実していました。

上段は「ビギナーズミニ四駆」の「ドッグレーサー」と「パンダレーサー」、下段は「ミニ四駆 オオカミ2」「ミニ四駆 オオカミ」に同梱されるオオカミ。

シールで彩られたクリアボディや、犬やパンダがハンドルを握る姿は和やかですが、競技用のミニ四駆にも負けず劣らず良く走るのだとか。可愛い顔をして侮れないアニマルレーサーたちは、今日も歴代のミニ四駆たちとサーキットで熱い戦いを繰り広げているのでしょう。

取材は2024年のクリスマスシーズンに実施。爆速で仕事を終わらせそうな「ミニ四駆サンタクロース」や、「2025年 干支ミニ四駆『巳年』」などの季節商品も並んでいました。

組み立てや塗装に必要なグッズも「全部」ある。

ここまでグッズや模型などを紹介してきましたが、TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYOには、それらを作るためのツールや塗料もそろっています。タミヤの直営店だけあって、その品ぞろえも半端ではありません。都内でも有数の充実したラインアップから一部をご紹介。

ないものがない。塗料とマステとエトセトラ

色に加えて質感まで表現できる塗料「情景テクスチャーペイント」を発見し、食い入るように見る編集 石川さん。

「タミヤカラー」としておなじみの塗料は、ラッカー系、アクリル系、エナメル系など用途によって種類もさまざま。ここでは全系統/全色がバッチリそろうので、買い出しに行って「あの色がない!」と悔しい思いをする心配はありません。

プラバンやプラ棒も各種サイズがそろい、マスキングテープに至っては1mm単位の幅違いが並んでいます。こだわって工作をしたい人のために作られた、きめ細やかな製品たちが一堂に会し、それを眺められる贅沢。企業努力を真正面から受け止められるような体験に興奮しました。

同行した編集 越智さんのお気に入りは「タミヤ モデルクリーニングブラシ(静電気防止タイプ)」(写真左)。プラモデル以外にも、キーボードの掃除やコーヒーミルの手入れなどに活躍する便利アイテムです。

石川さんは組み立て式の「電動ハンディドリル」(写真右)に注目。作る工具すら自分で作る、タミヤのものづくりマインドが伝わってくる商品ですね。

泳ぐアヒルからギアボックスまで、動きのタネが勢ぞろい

fabcross読者にお馴染みの「楽しい工作シリーズ」も、現行製品の全てをカバー。2024年の売り上げトップの「歩いて泳ぐペンギン工作セット」や、同じくベスト10入りした「歩いて泳ぐアヒル工作セット」を筆頭に、水中や地上を動き回らせるための素体が選び放題です。

モーターやユニバーサルボード、タイヤなどの要素部品もずらり。細かいパーツは品番ごとに分類され、巨大な書架のような棚に収納されていました。さらに店頭のパネルで検索すれば大体の位置がわかる親切な設計になっています。

いやしかし、これだけ多くのパーツに囲まれる機会はそうそうありませんよね。戸棚を引っ張り微笑む石川さんの表情にも納得です。

誰でも使えるサーキット、STEAMを学ぶロボット教室

1時間以上の道のり(!)を経て、ようやく奥までたどり着きました。MODELERS SQUAREと名付けられたイベントスペースでは、模型作品の展示やサーキットを使った競技会などが開催されています。

サーキットでは自分のマシンを走らせてもいいし、この場で買ったマシンを走らせてもOK。まさに夢のような環境です。

「モノレール工作セット」の作例(左)と、ミニ四駆デコレーションコンテスト(コンクールデレガンス)の参加者であるKAGAROT氏による作品「KABU-TASCHE」

展示スペースには「楽しい工作」の製作例や、オンラインで開催されたミニ四駆デコレーションコンテストの優秀作品が並んでいました。マシンの見た目やドレスアップのアイデアなど、速さの追求だけではない楽しみ方の多様化を感じられます。

ここでは毎週火曜日に「タミヤロボットスクール」が開講され、小学生がロボットやプログラミングを学んでいます。取材時も子どもたちがワイワイと、時に真面目に、時に明るくミッションにチャレンジしていました。すぐ近くに頼れる大人や先輩たちがいることは、きっと心強く励みになることでしょう。

タミヤの歴史、全部載せ。

すべてのエリアを見終わり、「ここにない製品はあるんですか?」とスタッフに尋ねると、「廃番になったもの以外、全てがあります」と力強く答えてくれました。個別の商品はもちろん、組み立て途中で紛失や破損したパーツも取り寄せできるそう。文字通り、嘘偽りなく「タミヤの今が、ここにある。」が体現されているのです。

昔からのファンはもちろん、大人になって再度熱中したり、家族や友人たちと遊んでみたり。TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYOはタミヤの製品に興味を持てる間口の広さと、いくらでも掘り下げていけるディープさを兼ね備えた、とても贅沢な空間でした。

とにかく、何か困ったらそこに行けば良い。6000を超す商品とスタッフたちの愛情がそう感じさせてくれるTAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO。平日は20:00までオープンしているため、仕事帰りに模型を買って帰る、なんて使い方もできそうです。

日常使いでも東京観光でも楽しめる、新しくも懐かしい場所にぜひ足を運んでみてください!

ショップ情報

所在地 〒105-0004
東京都港区新橋4-3-1 新虎安田ビル1F
営業時間 平日(月~金) 11:00~20:00
土/日/祝祭日 10:00~19:00
URL https://www.tamiya-plamodelfactory.co.jp/

fabcrossより転載)

関連情報


ライタープロフィール
淺野 義弘

1992年生まれ。大学で3Dプリンターに出会ってものづくりの楽しさを知り、大学院・研究所勤務を経て独立。ものづくりに関わる施設や個人の取材を続け、その魅力を多くの人に届けたいと考えながら、自身でもデジタルファブリケーションを活用した愉快な作品制作に励んでいる。


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